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退院してしばらくしたあと。
僕たちは愛に会いに行く。
すっかりつめたくなった石の中で眠る君へ……
僕は君を忘れない。
「真白。本当にここでお弁当広げるの?」
瞳が不安げにそういった。
「うん。
愛も賑やかな方がいいと思う」
「いや、モラル的にどうかなと」
瞳が苦笑い。
「住職さんには連絡を入れているよ」
「そういう問題かな?」
瞳がため息をつく。
「真白君。
私がいてもいいのかな?」
奈々が不安げにそういった。
「いいよ。
紹介したいんだ。
愛に奈々のことを」
「うん」
奈々がはにかむ。
僕らはお弁当を食べたあと。
お墓の掃除をした。
ゆっくりとした時間。
ゆったりとした時間。
愛。
この人が、僕を愛してくれていた人だよ。
愛……
この人が、僕が愛した人だよ。
僕は、絶対に、絶対に、君のことを忘れたりなんてしないよ。
だから、見ていて。
僕が、どんな感じでしあわせになっていくかを……
そっと、優しく見守ってね。
そして、ずっと一緒にいれなくてごめんね。
君といた、一年間。
それは、しあわせだったよ。
僕は、愛に奈々の紹介をした。
そして祈る……
このしあわせがずっとに続きますように……って。
-終わり-