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「そうだよ?
私、死んだんだよ?
だけど、えいえんのせかいに来れた」
「えいえんのせかいでは……
ずっと、お兄ちゃんと一緒にいれるの!」
「えいえんはないよ……」
「えいえんはあるの!」
「だって、それは……
えいえんは、もう終わってしまったんだ……」
「終わってなんかない!
ずるいや!
みんな、ずるいよ!
お姉ちゃんも、お兄ちゃんも、みんなずるい!
みんな、私のことを忘れてしあわせになろうとしている!
どうして、私だけしあわせになれないの?
どうして?どうして?どうしてなの?」
「愛、君はもう死んだんだ……」
僕は、もういちど言った。
自分で自分に言い聞かせるように、もういちど言った。
「酷いよ……
みんな、みんな私のことを忘れていく」
「僕は、愛を忘れたことなんてないよ」
「嘘だ……」
「本当だよ……」
「忘れてたでしょ?
あの女の人と寝たとき、忘れていたでしょ?」