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瞳は、何度も何度も何度も。
愛の体を揺らした。
「愛、起きなよ……
愛が起きないから、先生泣いちゃったよ?
ねぇ、愛ってば!」
瞳は、涙声で僕に聞く。
「愛、どうなったの?」
僕に、言わせないでくれ…
言ってしまったら、それを認める事になるじゃないか。
「ねぇ、真白!真白ったら……!」
でも、言わなくちゃいけないんだ。
認めなくちゃいけないんだ。
「天国に行っちゃった……」
「どういうこと?」
僕は、男の子だから強くならなくちゃいけないんだ。
「死んじゃったんだ」
「死ぬってなに?」
瞳が涙を浮かべながら言った。
僕だって泣きたい…
でも、強くならなきゃいけないんだ。
だって、僕が好きな人は、みんな離れて行くんだから。
「怒ったり泣いたりしないってことだよ。
だから、もう愛は苦しまないんだ」
瞳は、僕の体を力強く抱きしめた。
「泣いても良いよ」
「僕は、泣かない」
「じゃ、私が泣くね……」
わーん」
瞳が泣いた。
大きな大きな声を出して泣いた。