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泣き声が聞こえる。
泣いているのは瞳……
なんで、こんな夢ばっか見ているんだよ……
僕は、暗く光のない場所でうずくまっていた。
思い出したくない過去。
あのとき、僕は泣いていた。
そして、今も泣いている。
もう、誰も失いたくない。
「お兄ちゃん」
女の子の声が聞こえる。
「やっと、全部思い出してくれたんだね」
思い出した……?
何を?
「お兄ちゃんが、迎えに来てくれないから。
私が、お兄ちゃんを迎えに来ちゃった……」
迎えに来るってなに?
「約束したでしょ?」
何を?
「私をお嫁さんにしてくれるって……」