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愛が、孤児院に戻ってきてから3ヶ月が過ぎた。
僕と瞳は、何も考えず。
いつものように愛の部屋に遊びに来ていた。
「コホコホコホ」
「愛、大丈夫か?」
愛は、自室のベットの上で横になっていた。
「コホコホコホ。
大丈夫だよ……」
「私、先生呼んでくる!」
瞳は、そう言って愛の部屋を出た。
「愛……」
「……コホコホコホ」
愛は口元に手を当てて咳きこむ。
その手の隙間から、赤い液体が流れ落ちる。
「愛!!」
「お兄ちゃん、大丈夫だよ……
コホコホ……」
「大丈夫って血が……」
「最近、いつも血を吐いてるんだ……」
「愛、しゃべっちゃダメだ!」
「お兄ちゃん。
もし、このまま髪の毛が生えなくても。
お嫁さんにしてくれる?」
「お嫁さんにでも何にでもしてやるから……
しゃべっちゃダメだよ!」
「よかった……」