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「お腹に本が乗ってるだけでしょ?
動かないって事はないんじゃないかな?」
瞳は、そう言いながらゆっくりと本を1冊ずつどけていった。
「本当に動けないよ」
「全部どけたよ?」
「動けない……」
「冗談言ってないで、早くデートに行きなさいよ!」
「動かないんだ……」
「まだ、言うの?」
「本当だってば……」
「じゃ、実験!」
瞳は、ニッコリ笑って、僕のお腹に肘鉄を喰らわせた。
「痛ッ」
痛みが、全身に走る。
うずくまろうと体がしたのだけど、うまく動けない……
「えー
これでも、動かないの?」
「何をするんだ…!…
動かないじゃなくて動けないんだ……!!」
「本気で言っているの?」
「うん……」
なんだろう?
頭がぼーっとする。
意識がゆっくりと沈んでいく。
瞳が何か、どなっている。
でも、何を言っているかは理解できない。
僕は、また眠るの……?