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俺たちは、見込みのありそうな若い将校を鍛えていた。
将来のセレスティア王国を統治するためだ。
王女は、なんと言っていいか箱入り娘で期待できない。
俺たちが王国を救ったとしても、彼女が女王で支えるものがいなければ
国家は崩壊し、俺らの努力は水泡と帰す、それは避けたかった。

しかし、その王女の幼馴染の若者、クルセスは名門の出自と言うわけでもなく、
王女と結婚できるとは思えない。
方法は彼を、「救国の英雄」にするしかないだろう。
別のリージョンで、経験値を取り出し、移し変えるアイテムが売っていた。
取り出した経験値の半分が宝玉となり結晶化する。

俺たちは余剰経験値を結晶化して、ある程度所持していた。
とりあえず、2万経験値ほど彼に与え、レベルを20程度にした。
もともと、彼は武術の才能には優れており、おそらく帝国軍相手なら
無双できるだろ

「よお、ドラキチ。明日、王都へ攻め込むぞ。
よろしく頼むぞ、相棒。」竜騎士殿はそう言って、
巨大なドラゴンに話しかけていた。
「グルルル」ドラゴンが反応してうなっていた。
帝国の兵士はこんなにも強大な力を持つドラゴンの
友人になっている竜騎士殿を敬愛していた。


帝国軍は王都オーベルニンヘンへ向け進軍していた。
しかし、道中で罠や待ち伏せに会い、
兵士の犠牲はあまりにも大きく、士気は低下していた。
脱走も相次ぎ、どう考えても情報が漏れているとしか思えなかった。
スパイ狩りを徹底したが、それらしき様子もない。
すでに軍は疲弊しきった10万だけになっていた。

皇帝ヘカトン3世は、それでも帝国軍の進軍を辞めなかった。
皇帝自らの指揮を執り、帝国の存亡をかけて侵攻しているのだ。
ここで撤退しては、帝国が滅びる。



帝国軍8万と王国軍5万がぶつかることとなった。
世界史上最強とも言っていい竜騎士ロマノフが居るのだ
負けるはずがない。そう思っていたのだが、
戦略や戦術は素人らしく、あっさりと敵軍に敗北した。
いくらなんでも、1人で5万人を殺すのは無理だろう。
そう思っていると、敵将のクルセスに捕縛されてしまった。

王国軍は戦意旺盛、帝国軍はあっさりと敗北した。
竜騎士のことを除けば、予想はしていた。
もはやこんな帝国などに未練はない。
魔王ザルエラ様から大いなる力を頂いたのだ。
リージョンコアの力を!
そう言うと皇帝は巨大な化け物へと変化した。

「リージョンコア確認、通常攻撃は無意味。」
盗賊の印旛が言った。
「怪物ヘカトンケイル、完全物理魔法無効属性。」
盗賊は、「看破」スキルを使うとそういった。

おそらく、戦闘力10億の攻撃も効かないだろう。
これは困ったと、竜騎士を除いた8人で相談した。
とりあえず、全力で物理攻撃と魔法攻撃をぶっ放つも
ダメージはないようだ。

(リージョンコア、恐るべし。)
全員がそう思った。

問題ない、そういったのは黒魔道士「英島豊」だ。
「超伝導って知ってるか?」
俺は代表していった。
「一応は。」

「やつがすべてを無効にするとしても、時間と空間が停止した
時空間では無効化できない。もしそれが出来たら、
見捨てて逃げるしかないがな。」

黒魔道士「英島豊」はヘカントンケイルの前に立ちはだかると、
極龍退治で鍛えた 「十八番」やつのカンストスキルレベルの
氷魔法を放った「フリーズ!」、「アブソリュートゼロ!」

すると、時空間が局所的に止まった。
「ヘカトンケイルが無効化できるのは、
形がないから、でも時空がとまれば、固着化される。」

その盗賊の言葉を合図に、
魔道士はMPの尽きるまで、
戦士や召喚士は体力の尽きるまで
全力で殴ろうとした。

「いや、それ意味ないから。」
英島はそう言うとMPを分けてくれという。
「サンダー」そう言うと
黒魔道士 英島は 電撃を食らわせた。
全員のMPが尽きるまで。

「時は動き出す。」
某漫画の主人公のような台詞を吐いた、
英島は超伝導で抵抗ゼロのエネルギーが
時空間の固定化が溶けた瞬間に
怪物ヘカトンケイルの内部で
爆発的なエネルギーを生み、
巨大な閃光と共に、怪物は爆散消滅した。

皇帝ヘカトン3世の消滅後、彼が魔物だったという
噂が広がり、跡継ぎも居なかったため
エスカ帝国は皇帝を廃し、共和制と成った。
エスカ帝国でカリスマでもあった、竜騎士ロマノフの
協力もあり、王国は旧帝国と講和条約を結び、
王女と結婚した、クルセスは王配となり、
平和な世界が訪れた。

リージョンコアを無事回収した俺達は、
研究所に戻り、次の世界に旅立った。

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