157
僕が、先生と一緒に愛の部屋に戻ったとき……
愛は、血を吐いていた。
「愛!愛!愛!」
瞳は、涙を流しながら愛の名前を何度も呼んでいた。
「愛ちゃん、大丈夫?
すぐに救急車呼ぶからね!」
先生は、携帯を取り出すと救急車を呼んだ。
救急車が来て、愛が病院に運ばれるのを僕と瞳は、大人しく見ていることしか出来なかった。
愛が、乗った救急車が見えなくなった。
僕は、怖かった。
「僕のせいだ……
僕がらくがきなんてしないで、すぐに布団を掛けていれば……」
僕は、悔しくて悔しくてつらかった。
瞳は、ただ黙って僕のことを抱きしめてくれた。
「泣いてもいいよ?」
「泣くもんか……」
「じゃ、私が代わりに泣くね……」
そして瞳は、声を出して涙を流した。
大きな大きな声だった。