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「ほらな?
クラスの他の奴にも聞いてみ?」
菊池の言葉を聞いた僕は、近くでお弁当を食べていたクラスメイトに聞いてみた。
「なぁ、僕って鈍いかな?」
「鈍いね」
「あぁ鈍い」
鈍いと言われた。
僕って、鈍いのか。
そっか……
僕が溜息をついていると、水谷さんが小さく微笑んで言ってくれた。
「だからこそ、救われている部分もありますよ」
「だってな。
よかったな!」
菊池が、ポンと僕の肩を叩いた。
「フォローになってないよ」
「勘の良い男の人はモテませんよ?」
水谷さんの言葉に僕はため息混じりに答える。
「勘が悪くてもモテない気もするけどね」
「気づいていないだけかも知れませんよ?」
水谷さんのその笑顔が少し怖い。