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「ううぅ」
セロが頭を抑える。
「いきなりいろんな情報が入ったからつらいだろうが……」
ジャキはそういって銃を構える。
倒れたはずのジルが、立ち上がる。
胸に穴は空いている。
「死人にムチを打つのはやめろ!
クレイジー・クレイジー!」
ジャキはそういってクレイジー・クレイジーを見つけ銃を放つ。
「きゃは!気づいてたの?いついついついつ?」
「お前の魔力。
忘れると思うのか?」
「そんなの知らないわ。
私は、ジャキくんとセロくんの死闘が見たかったのよ?」
「死闘?」
セロがクレイジー・クレイジーを睨む。
「わー、怖い怖い。
記憶が戻ったところで、お姉さん大サービス!
オトナちゃんのその後、知りたくない?」
「オトナさんのその後?」
セロが耳を傾ける。
「そうよ。
さっきいってたベルちゃんだっけ?
その子と一緒に強姦されているわ。
何年くらいかな。2年くらいかな。
捕まえるの苦労しちゃったんだぞ!」
クレイジー・クレイジーが嬉しそうに笑う。
「外道が」
ジャキがそういってクレイジー・クレイジーのこめかみに銃弾をぶつける。
「痛いじゃない?
それに女の子の顔を傷つけるって男としてどうなのかしら?」
「知らねぇ」
ジャキがそういって再びクレイジー・クレイジーに向かって銃を放つ。
「また傷つける?いいの私が死んだらオトナちゃんの居場所が――」
クレイジー・クレイジーの言葉の途中でジャキは何度も銃弾をぶつけた。
「知らないっていっているだろ?」
ジャキの目は怒りに満ちている。
「貴方ヒーロー志望でしょ?
そんな方法ヒーローらしくないわよ?」
クレイジー・クレイジーは、そういってジャキの方を笑顔で見つめる。
「俺はヒーローにはなれねぇ。
だって父親は操られていたとは言え犯罪者だ」
「そうね。
でも、なりたいんでしょ?ヒーローに。
でも、ジルくんを殺したのにヒーローになりたいなんて思えないかー」
クレイジー・クレイジーがジャキの心を揺さぶる。
「属性付与、炎」
セロがそういってジャキの肩を叩く。
「ん?」
ジャキが首を傾げる。
「藁人形はよく燃えるぞ」
セロが小さくいった。
「ありがとよ」
ジャキは、そういうとジルを無視してクレイジー・クレイジーに銃弾を放った。
「燃えつきろ、クレイジー・クレイジー」
ジャキの銃弾によりクレイジー・クレイジーが燃える。
「こんな炎!消してあげる!」
クレイジー・クレイジーは、そういってジャキを睨む。
「消えねぇよ」
「え?え?え?どうして?どうして消えないの?」
クレイジー・クレイジーが混乱する。
「言ったろ?藁人形はよく燃えるって」
セロが言う。
「藁人形……?」
クレイジー・クレイジーが驚いている。
「お前の情報もついでにセロに入れたんだ。
お前の正体は藁人形だ、命を吹き込まれたただの藁人形。
まぁ、お前は燃えるさ。だって炎に飲まれたんだからな」
ジャキが笑う。
「私は、藁人形……」
クレイジー・クレイジーがジャキの暗示にかかる。
ジャキがクレイジー・クレイジーに偽りの記憶を植え込んだ。
それによりクレイジー・クレイジーは、自分を藁人形と思い込み。
そして、燃え尽きた。
クレイジー・クレイジーが燃え尽きるとジルも燃えた。
「燃えたね」
セロがそういうとジャキがセロの方を見る。
「ああ、燃えたな」
「じゃ、僕は次の場所に向かうね」
「次の場所?」
「モトフミぶん殴る」
ジャキはそれを聞くと小さく笑う。
「いいな、それ!」
「うん、君はオトネさんのことをお願いしていい?」
「ああ、ベルと一緒に救う」
「お願いね」
セロはそう言い残すとその場を去った。