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「歩法を制すものはすべてを制す」
そういってひとりの男が現れる。
虎のマスクをしたひとりの男。
「誰だい?
ここは、僕と丹歌くんの死闘の末。
僕が圧勝するシナリオが――」
白銀がそこまで言いかけたとき虎マスクの男が白銀の背後に回る。
そして一撃浴びせる。
「この動き……
もしかして……」
丹歌が目を丸くして驚く。
「僕の名前は星野 新一さ……」
新一がそういうとそのまま白銀に一撃ダメージを与えた。
「アイドルごときが僕と戦うのかい?」
白銀がそういうと新一が笑う。
「もし君が本物の白銀なのなら苦戦したかもだね」
新一がそういうと白銀が笑う。
「戯言を……」
「だってそうだろう?
君は偽物なのだから」
「そうこの力……
アトラク=ナクアを見てもそう言えるかな?」
白銀はそういうと目が赤くなる。
「そうかい?
アトラク=ナクアの力はその程度なのかい?」
「なにを言って――」
白銀がそういいかけたとき片腕を失う。
新一が、罪獏刀で斬ったのだ。
「今は君程度の雑魚を相手にするわけにはいかないんだ」
白銀は恐怖した。
死が見えた。
白銀は、新一に背を向け逃げようとした。
「こんなはずじゃ……
僕は、コード893を利用しテオスを利用し……
そして――」
白銀がそう言いかけたとき目の前に現れたのは、南 秋夫。
コード893のひとり。
「俺は短気だからよう。
ガキどもが死んでいったあの事件のことは許せねぇ」
「ヤクザ如き。
片腕がなくても!」
「片腕?両腕の間違いじゃないのかい?」
秋夫がそう言って白銀のもう片方の腕を後ろに投げた。
「ひ、卑怯だぞ!」
「お前さん、誰を相手に言っているんだい?
俺は、なんだ?」
今にも泣きそうな白銀に秋夫が言った。
「ヤクザ」
「そうさ。俺はヤクザ。
卑怯なことが大好きなのさ」
そう言って白銀の胸に穴を開けた。
「あ……」
白銀は断末魔をあげることなく。
その場で生命を落とした。
「えっと、展開が読めないのですが」
丹歌がそういった。
「簡単です。
悪がひとり滅んだ。
ただそれだけです」
新一がそういった。
「貴方はもしかして、本物の……」
丹歌が新一の目を見る。
「今は、ですますスイッチのメンバーです」
「……そうですか」
「さっきの白銀はクローンなのかい?」
秋夫がそういうとおぢやビンゴが答える。
「そうですね。
クローンです。
フィサフィーはクローンを作る天才ですから」
「フィサフィー。
ベルゼブブとも繋がっていたのかー
やだねぇ」
秋夫がため息をついた。
「まぁ、悪あるところにフィサフィーありですよ」
新一がそう言って笑う。
「さて丹歌くん。
貴方は学校に戻りなさい」
「え?」
「秋夫さんお願いしてもいいですか?」
おぢやビンゴの願いを秋夫は渋々頷いた。
「構わないよ。
でも、ヤクザをタクシー代わりに使うなんてなかなかのおやぢだね」
「ははは。
褒め言葉として受け取るよ」
「褒めてないよ。
まぁ、いい。
丹歌っつったね。
歯を食いしばって行こう」
秋夫は、そういって丹歌の身体を掴みそのままワープした。