プロローグ 「幸福部」が始動します!
「おはようアルメール」
「寝すぎよレイト!」
「今日も朝飯は食パンなのか?」
「文句なしよレイちゃん」
「あー、おはー。アルサさん」
パーティー活動を始めて一ヶ月。
リーダーの俺が作ったこのパーティーは『女神』『魔女』が一人ずついる怪異種族加入パーティーとなっている。
「あーー! ちょっとレイト! なんで私の下着があんたのベッドに潜っているのよ!?」
「自慰行為ですよね? レイちゃんお年頃だもの」
「してないですよ!? 昨日の夜中に寝ぼけて俺のベッド入ってきたのお前だ!その時に脱げたんだろ!?」
「はぁぁあああ! あんたまさか! 私の下着をその際に盗んで私にえ、エッチなことしたんでしょ!?」
話しを聞いてない!
自分が悪いの認めろ女神!
「それで?今日の依頼は?」
「迷子犬探しと畑の耕しの手伝いが入ってるわ」
「それ魔法使いの俺がすることじゃなくないか?」
「あんた最強すぎてギルドから「新人のクエストを持っていくんじゃない!」ってどやされたじゃない!」
そうそう。
俺は最強だ……そしてクエスト受注を認めてもらえずに家をやるから大人しくしていろと街内での生活を余儀なくされてる。
ギルマスもつまらない人間へと成り下がったものだ。
「そもそもさ?なんで冒険者パーティーに女神と魔女の怪異種族がいるんだよ。そこから問題だって言われただろ?」
「怪異種族とか馬鹿にしてるでしょ人間は!なんで女神の私が怪異なのよ!」
「魔女の私はもっとこんな牛乳女よりも怪異じみてはいないと思うのですが……」
どこからのツッコミを許される?
自分は怪異じゃないと思っているアルメールか?
牛乳女か?
魔女を女神より怪異じみていないところか?
全部ツッコミたいが……。
いやいや! 全てにツッコめば俺の価値が下がることになるんじゃないか!?
「お邪魔しますー!やほーい……って初めまして」
──ズコーンッ!
何だその挨拶は!?
どこかで会ったことある風に入ってきて初めてと初対面なのを明かす……分けわかんないぞこの子!
「どこかで会ったことあるのかと思って記憶辿ったじゃない!」
「俺も辿ってしまったわ!」
「私も辿ったわ」
「ごめんなさい……て!気にすんなー!」
「「「するわ──!」」」
まためんどくさいキャラに出会ってしまった気がするぞ我、最強の魔法使い!
……しっかし、小さいしー、耳が尖っている。
種族的にエルフと見ていいが──可愛い!
「見惚れましたね?レイトさん!」
「バレた!」
「レイト……。どういうことかしら……。私をほって他の女に見惚れる……?アハハ、死にたいようねレイト」
おい待て待て待て!
なんで俺が死ぬ設定ってなんだこの野郎!
てかヤンデレ出てる!
ヤンデレがバンバン出てるからアルメールさん!?
「ヤンデレの牛乳女ですか……。イヤラシイ格好乙です」
「んだとこのクソ豚耳が」
動物の名前を勝手に使っていらない対抗心に燃えないでくれますか!?
アルサさんに止に入ってもらわない……と。
大爆笑で過呼吸起こしてるよこの魔女!
──タプーン……。ポヨヨン!
「……!?まさかこの音は!」
ポヨヨンの音に強化魔法を使って超高速で振り向いて確認してやる!
──ぬぁっ!
「いかがわしいこの乳……!無駄な脂肪がつまりすぎですね」
「何勝手に人の胸をさわって……ひゃうん!」
よーし! もっとやってやれエルフの可愛こちゃん!
……そうじゃない! 十五禁展開はさすがに問題だ!
「レイトさんの前で……チラ出し!」
「スト──プッ! 十八禁はダメだー!」
「ムムッ! レイトさん一体いくつなのですか!?」
普通に二十歳だが……。
どう見てもアンタがいくつだ!?
「もしや私の心配を!? それなら安心を! 私は──生きすぎてて歳忘れました!」
──ドゴーンッ!
まさかの年齢喪失かよ!
生き過ぎたあげく、終いには年齢お忘れはカラオケ、ボーリングの割り引き効かなくなるやつだ!
「イテテテ……! 全員で勢い良くズッコケたでか、床が抜けたぞ」
「イッたー! もう! なんで抜けたのよー!」
「イタタ……。あらら、穴が空きましたね」
全然古くないのに家の床が抜けるなんてな。
手抜き工事だろ絶対に……。
「そういえば、なのんの用で来たんだ?」
「パーティー加入しに来たんですよ!」
「エルフ……でいいの?」
「はいはい! あってます!」
断る理由は俺にはないな。
とりあえず、加入書に手続きをしてもらってから、それをギルドに申請しに行って受理を──。
「あれ? アルメールは?」
「フッフッフッ! その豚はうちのパーティーの食料として加入することを自ら宣言するとは……さっそくチャーシューにするわ!」
「やめてくれ──!」
──コンコンッ!
今日は客人ばかりで何がある?
まだ朝の五時だというのに……って、朝の三時半から朝食のパーティーなんて高齢者家庭だなここ。
「おーす! 元気かー? アルメール、アルサ、レイト! ……お? エルフも仲間になるのか?」
「ギルマスか……。今日から入れることになったから書類の受理を頼む、これだ」
「あいよ! そうだそうだ! 目的を忘れるところだった!」
まだ家に来て二十秒しかたってないぞジジイと言わんばかりの顔で俺達4人で威圧を送ってみせたが……完璧無視だなこのジジイ!
そもそも、このパーティーは同好会でも部活でもなく、魔法で世界を幸せにするために俺が作った「世界幸福部」だ。
異世界転生。
俺がこの世界で「幸福部」を作った理由は、前にいた世界で孤立してた為に同好会や部活や友の一人すらいなかった入れなかった。
そして俺は……。
「お前が異世界からこんな物騒な世界に来たって話を覚えているか?」
「あったなそんな話」
「レイトはなんで異世界から来たの? って私が聞いたら、「落ちて目が開いたらここにいた」って。は?って感じよ」
どちらかと言うと、俺が目を開けた時に横にいたアルメールの方が「は?」だったがな。
「ガハハハ! 自殺したとか笑った笑った! 学校とか言うところの頂上から自ら鳥になって飛んだんだろ!? 死んでここへ来るとか死にそうなくらい笑けた!」
「ちょ、ま! お前ギルマス! 俺がぼっちだったのをバカにしてるだろこの畜生!」
「ぼっちになるよなうな陰キャラなのが悪いのよ。だからギルマスが笑うのに私も同感だわ!」
「ぼっちって可哀想よね?」
「ぼっちぼっち!」
そのぼっちと今を共にしているのあんたらは何を俺に物言える立場にあるんだよ。
「じゃあ受理して加入許可を下ろすから幸せいっぱいの世界目指してまた頑張ってくれ! ……そうだそうだ! 最初に言いたいことをまた忘れてたぜ!」
「早く帰れよ賭け麻雀の犯罪者のジジイ。……なにかあるのか?」
「この世界は、あんたらパーティーのおかげで一度は平和になったがな……また平和、いや、幸せの世界にするためにあんたらが手を染めきゃならない」
何が言いたいこのジジイ。
平和な世界にまた何かあるのか?
次は平和を通り越して幸せか?
俺達のパーティーの目標はそれであっているが……濁すジジイ久しぶりに見たぞ?
「手を染める……つまり、人をですか?」
「「「……!?」」」
「そうだよアルサ。この世界はまた、五万年前のように魔法で汚れ出している。モンスターに人間にだ! 幸せを、世界の幸福を望むのなら頑張ってくれ! クエスト受注許可をここに! じゃあ帰るぜ!」
また魔法で世界が汚れた……。
「幸福部」の出番がきた!
「やっと、ちゃんと幸せ目指して働くのね」
「長かったですね。動けるまでに」
「よく分からないですけど、幸せいいですね!」
そうだ。
俺の生きていた地球での生活は地獄で幸せの「し」すらない歩くだけで全身が傷丸けになる世界と違う。
俺は最強だ!
そして──仲間も最強で最高で……最悪だがな。
「よっしゃ──! じゃあいっちょ景気付けやっとくか!」
「「「お──う!」」」
「「「「魔法で世界に幸福を!「幸福部」は幸せを世界に!」」」」
──カッコつけてみんなでしたが……朝飯冷めてんじゃん。
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登場人物紹介
レイト 二十歳 男性
十六歳で地球から天国へチ──ンと呆気なく自殺でおなくなりになった少年。
だが、死の直後に転生によって異世界へ迷い込む。
イジメを受け続け、ぼっちだったレイトの夢は同好会。
自分が幸せでは無かったために、「幸福部」と名の幸せを求める同好会を作りたかったが無念。
そして異世界転生時に得ていた魔法使いのスキルがあったため「幸福部」をパーティー名として作成。
魔法使いのスキルはまさかの最強スキルだったために、異世界転生一年で最強魔法使いと呼ばれる。
黒髪の無造作に跳ねるショートヘア。
純日本人顔の至って普通のイケメン男子。
身長一七七センチ。
アルメールとよく同じベッドで寝ている。
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アルメール 年齢??? 女性
異世界の女神で下の名は明かされていないが、最高戦闘力を持つ女神。
白髪の腰まである長い髪。
目はルビーアイの大きな人形の様な瞳を持ち、能力値を見破れるステータスバーをその瞳に隠し持つ。
転生したレイトが目を閉じたまま丘の上で寝ているところを見つける。
レイトの寝顔に一目惚れしてしまったアルメールは横でただひたすら目が開くのを待ち続ける。三日間。
目を開けたレイトに最初は警戒されるも、レイトが異世界の生活に慣れだすと、「パーティーを作ろうと思うからメンバーになってほしい」との相談を受けて第一メンバーとなる。
密かに抱えるレイトへの恋心はヤンデレを超越させるほどの爆発力を持っている。
身長一六◯センチ。
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アルサ 年齢五○三歳 女性
魔法使いの生みの親で、異世界神話に登場する魔女のモデル。
謎の理由で力を失ったアルサは、レイトとアルメールに森の奥地で発見される。
「私を殺してくれ……もう、魔法で人が不幸になるのは嫌だ!」と叫ぶも、レイトとアルメールの共同回復魔法によって魔力もろもろ息を吹き替えす。
全回復したアルサにレイトは手を差し出して、、「魔法で世界を幸せにするパーティー、「幸福部」入らないか?」と勧誘を受けた。
魔女の印象とは真反対の幸せのために人に魔法を使いたいと願った魔女アルサは、パーティーに加入。
ちなみにアルメールは巨乳だが、アルサは貧乳だ。
青毛のパッツンロングヘアー、長さは膝まである。
紫色の煙のように下から上へモクモクと動く奇妙な宝石のような瞳。
胸がもう少しあればモデル体型の超絶美人だ。
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名前無し 年齢忘れた 女性
エルフだが名前が無い捨てられの子。
年齢は生き過ぎているために忘れてしまっている。
たまたま街を散策中に見つけた「最強パーティー幸福部」と大きくキャッチーコピーが書かれた新聞を見つける。
興味本位でレイト達、三人が暮らす「幸福部」の家に朝の四時にお邪魔する。
朝はだいぶと早起きのようだ。
沢山の恨みを人間に持っているが、実は記憶喪失を起こしている為に過去を忘れている。
そして名前の無いエルフは生みの親がいないことを知り、そこから過去を思い出していく。
「世界の幸せ、幸福」への反発を起こす。
ピンクの髪の毛で毛先が黄色のボブヘア。
片目には魔法陣が時々浮き出るという緑色の瞳。
肌は雪のように白いが、日に当たりすぎると焼豚のような黒焦げへと変化する。
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ギルマス 年齢五十歳 男性
伝説の怪力脳筋魔法使い。
タバコ大好き、アロハシャツ。
金髪の髪と髭がチャームポイントと自ら話す。
特に何も活躍のないやる気ゼロのジジイとレイトにボロカス言われるも、話しを聞いてないために全く気に止めていない自由人。