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「大人しい子だとは思うよ」
僕は一呼吸入れてそう言った。
「うん。
それは、見ればわかるよ。
でもね、水谷さんに関してちょっと噂があるんだ……」
「噂って?」
「『前の学校でイジメにあったんじゃないか』って……」
「イジメ?」
『まぁ、あの子も前の学校で色々あったみたいだからできれば、仲良くしてやってくれ』
僕と担任の会話が誰かに聞かれたのだろうか?
そこから、推測すれば『前の学校でイジメにあった』
そんな、発想が浮かんでもおかしくないだろう。
「うん
それで、転校してきたんじゃないかって……」
「こんな田舎にか?」
「田舎だからこそだよ……」
「仮にイジメられて、転校して来たとしたらどうするんだ?」
「わかんないけど……
もしかしたら、イジメの対象になるかも知れない」
「どうしてだ?」
「わかんないけど……
そう言うもんじゃない?」