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それから、4年過ぎた……
私は、警察の精神病院にいる。
毎日毎日毎日。
理香と言う名の人形のオシメを変えている。
理香が、毎日泣く……
あの時と同じように理香が泣く……
武くんが、あれからどうなったのかは、わからない。
生きているのか死んでいるのかもわからない。
私が、いつものように理香のオシメを変えていると。
男の人と一緒に理香が現れた。
「ママ?」
理香が、私を迎えに来てくれた。
「理香?」
「私――」
「理香!」
私は、これまでにないくらい嬉しかった。
「ごめんね。
ごめんめ。
ごめんね。」
私は、ひたすら謝り続けた。
看護婦さんが、私の体を押さえる。
「理香……
ごめんね。ごめんね。ごめんね。」
「私、怒ってないよ……
だから、ママ。泣かないで……」
理香が、そう言って笑う。
あぁ……
理香……
理香が、笑ってくれた……
それだけで、私は幸せになった。
ただ、いつもより幸せになれた。
幻でも嬉しかった。
ただ、嬉しかった。
あぁ……
理香にまた会いたい……
私の心がほんの少し救われた気がした。