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「ふーん」
武くんは、興味なさそうに頷いた。
「で、この子は?」
武くんは、そう言って理香の方を見た。
そして、ニヤリと笑う。
「私の子よ……」
「ふーん」
男の人は、そう言って理香の頬を突く。
「やべ。
頬っぺた柔らかい」
武くんがケタケタ笑う。
理香が私の方を見た。
ごめんね、理香。
「理香。
起きちゃったみたいね……」
「この人誰?」
「この人は、武さん」
私が、そう言うと武さんが私を睨む。
私は、言葉を続けた。
「新しいパパよ」
理香が不思議そうな顔をしている。
そうよね。
パパは、英雄さんだけだよね……
頭の中では、わかっている。
だけど、私にはどうすることもできなかった。