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「理香。
挨拶しなさい」
私は、理香の方を見て言った。
ごめんね。
本当にごめんね。
「こんばんは……」
理香が、泣きそうな顔で挨拶した。
「……ふん。
俺、子供嫌いだから」
武君が、そういってケタケタ笑う。
「武くん、そんな事言わないで……」
武くんは表情を変えることなく英雄さんが、使っていた部屋に入った。
「俺、この部屋使うわ」
武くんは、そう言って持ってきたパソコンの電源を入れた。
その日から武君は、この家に居る。
仕事もデスクワーク。
自宅でできる仕事らしい。
家に由香と理香を残すのはつらい。
でも、私は、外に出て仕事をしなくてはいけない。
武くんに紹介してもらった、金融業で働いている。
そして、毎日の用意に上司からセクハラを受けている。
それは、武君が、私を好きにしていいと言われているからだ。
だから、要求はエスカレートしていった。