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「へぇー
私、パパの料理食べたい♪」
「私も、久しぶりに食べたいかな……」
私は、苦笑いを浮かべた。
英雄さんが作ってくれたのは、コロッケだった。
外がサクサクで、中はホクホク。
美味しかった。
私は、涙を流しながらコロッケを食べた。
「ママ、どうして泣いているの?」
「静どうしたんだい?」
「なんでもないの……
なんでもない……なんでもないの……」
私は、ボロボロと涙をこぼした。
「そっか……」
英雄さんは、私の体を抱きしめた。
それでも私の涙は止まることはなかった。
私は、何も言えない。
何も言えなかった。
笑顔が戻れるかな?
このまま笑顔が戻るんだと思っていた。
だけど、現実は……
私には、優しくなかった。