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それから、3ヶ月が過ぎた。
少し体の調子がおかしい。
私は、病院に行くことにした。
「おめでたですね」
病院で言われたひとこと。
私は嬉しかった。
だけど同時に不安がよぎる。
武くんの子どもだったらどうしよう。
そんな不安が心によぎる。
でも、あの人とは、あの1回しか……
その後、英雄さんは何度も抱いてもらった。
だから、そんなことはありえない。
私は、3人で食事をしているとき。
英雄さんに報告した。
「出来ちゃったみたい」
「え?」
英雄さんの表情が固まる。
何を言っているのかが、わからないみたい。
「赤ちゃんが出来ちゃったみたい……」
「ほ、本当に?」
英雄さんが、嬉しそうに笑う。
そう、私はあの苦しみから解放されるんだ……
私は、やっと笑顔を取り戻せるんだ。。
「……うん。
3ヶ月だって……」
「そっか……!
男の子?女の子?」
「まだ、わからないよ」
私は、思わず苦笑いを浮かべてしまった。
「理香よかったな!
お前、お姉ちゃんになるんだぞ!」
理香は、不思議そうに首を傾げている。
「妹か弟が出来るんだぞ?
理香、もっと喜べ!
家族が増えるんだぞ?」
英雄さんは、理香の体を抱きしめ、物凄く嬉しそう。
理香のしあわせは、私のしあわせ。
英雄さんの幸せは、私のしあわせ。
あの出来ごとは、忘れてもいいんだ。
私の体を英雄さんが抱きしめる。
私は、英雄さんの体を抱きしめた。
私は、しあわせだった。
本当にしあわせだった。