よく晴れた日曜日
犬と私の物語
公園から10分ほど歩くと雪の家が見 えてきた。家は一軒家で家族は父と母 と雪が住んでいた。雪は一人っ子で兄 弟がいなかった。
母は専業主婦で、父はIT関連の仕事 をしていた。母は厳しい人だったが父 は雪に甘かった。雪は心臓がドキドキ して、これから母を説得しなければな らないかと思うと恐怖を感じた。
「なんて言おうかな…。」
一筋の涙が出たが、それを手で拭った 。玄関を開け、チャイムを鳴らす。
しばらくすると雪の母である宮下恵(け い)がドア越しに姿を見せた。恵は言う 。
「どうしたの?雪、こんな時間まで 、なあに?その子。」
雪は心臓が冷えて、額に冷や汗を流し た。 雪は言う。 「あ、あのね、お母さん…。」
恵は犬のことは何も言わずにただ、「 早く中に入りなさい」と言った。
雪と恵と子犬は家の中に入り、温かい リビングでくつろいだ。
雪は意外だった。母は犬を見た瞬間驚 き怒るのではないかと思っていたから だ。 だが、恵の行動は違っていた。
すやすや寝ている犬をベッドに寝かせ 、暖かい毛布をかぶせて、寝かせた。 そしてしばらく二人は沈黙しながら子 犬を見ていた。
やがて、恵は台所に行き、雪のために 暖かいミルクココアを作ってきた。 恵は言う。「外は寒かったでしょう… ?これでも飲んで体を温めなさい。」
母の優しさが伝わってきて、雪は思わ ず泣いた。それを何も言わずに、恵
は ミルクココアを少しづつ飲んでいた。 恵は、ふっ、と、昔のことを思い出し 悲しい目を一瞬した。 雪が泣き止むと恵は話し始めた。
「あのね、雪、お母さん子供の頃、一 匹犬を飼っていたの。タロウって犬を ね…。」
雪は驚いた。なぜなら今まで動物を買 いたいというと猛反対したからだ。
雪が言う 「お母さんが、ウソ、だって私が今ま で動物を買いたいって言ったら反対し たじゃない」
雪は子供のころから動物が大好きだっ たが、買わせてもらえずよく泣いてい た。 あるのは子供のころ買ってもらった、 パンダのぬいぐるみだけだった。
今ではぼろぼろになってしまったが、 今でも大切にしていた。寝るときはい つも抱っこしていると安心して寝るこ とができた。雪は動揺していた。
恵は言う。
「あのね、雪、この子飼おうか・・・・、お父さんには
私からお願いするから・・・・・・」
雪は心の重みがとれて言った。
「お母さん、本当にいいの・・・・・・」
恵は目をつぶり「ウン」と言ってくれた。
そして、父である宮下登が帰ってきた。
彼は玄関のドアにカギをさして回す。
「カチャ」という音がした。
ドアを開け、中には入った。
リビングのドアを開けると、二人と一匹の子犬を見た。
登は言う。
「ふーん、また、ずいぶんと可愛い子だね、どうしたの」
恵が説明した。
登
「なるほどね、じゃあ、今日から家族が増えたね、これか
らよろしくね、子犬くん」
と言い、特に雪を叱るということはしなかった。
恵が言う。
「雪、良かったね。これから私も面倒、見るから
さ・・・・・・」
そういってミルク・ココアを飲んだ。
雪は、母の優しさにこれほど、救われ たことはなかった。
雪は、うつむきながら言う。
「お母さん、・・・・・ありがとう」
「うん」と恵が言った。
「さてと」と東が温かい布団で寝てい る子犬を見た。
「そうだね、今日からこの子は、うち の家族だ、犬の飼い方が載っている本 を買ってこなくちゃね。
ところで雪、この子の名前は考えたか い。
雪き首を大きく振りながら言った。
「いや、まだ全然考えてないの、何か いい名前ない、パパ」