18
「妹か弟が出来るんだぞ?
理香、もっと喜べ!
家族が増えるんだぞ?」
パパは、私の体を抱きしめ、物凄く嬉しそう。
パパのしあわせは、私のしあわせ。
ママのしあわせは、私のしあわせ。
だから、今の私もしあわせいっぱい……
だけどなんだろう?
私は、素直に喜ぶ事は出来なかった。
何故だかは、わからない。
私の中で何かが音を立てずに壊れた。
パパとママが、抱き合う。
それは……それは……とてもしあわせそうな顔。
だから、私もしあわせになりたい。
だけど、私はしあわせにはなっていない。
どうしてだろう?
なぜか涙が零れた。
しあわせのベルが、音を立てて崩れていく。
そんな気がした。
「理香……?」
ママが、私を抱きしめる。
「なんにも不安な事なんてないから……」
「そうだぞ……
パパは、ママと理香を一生守って見せるからな?」
パパが、私の涙をティッシュで拭いてくれる。
それでも、消えない。
この不安はなんだろう?
私は、泣いた。
いっぱい泣いた。
涙が枯れて疲れ果てるまで泣いた。