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すると吾郎が、後ろを見る。
「出ておいでよ」
「ん?新手か?」
百道が、拳を構える。
「いや、違う」
吾郎が、そう言ってメガネをクイッとうえにあげる。
「兄ちゃんたち強いの?」
そう言って現れたのは赤い服を纏い赤いランドセルを背負った男の子だった。
「ん?小学生がどうしてここに?」
灰児が、そういうと男の子が言葉を続ける。
「えっと百道って人がとっても強くて信用できるって言うから探しに来たんだ」
「いや、俺なんか全然だぞ?
強さだけならここの3人の方が強い」
「どっちでもいいよ」
百道の言葉に男の子がそういった。
「どっちでもいいのかよ」
百道がため息を付いた。
「僕の名前は、大阪 数馬」
「大阪?大阪って名前に赤い服ってあんまり想像したくないのだが……」
灰児が、そういった。
「赤い服ってコード893じゃないんだからなー」
百道がケラケラ笑う。
「僕のおじいちゃんは、コード893だよ」
数馬が、目に涙を浮かべていった。
「マジか?」
百道はひたすら驚く。
「うん」
数馬が言葉を続ける。
「百道兄ちゃん。
登兄ちゃんを助けて!」
数馬が、そう言って涙を流す。
恐怖、不安が交差し心の中がぐっちゃりとなる。
「誰だ?その人は……」
健太がそう言うと吾郎が答える。
「空の旋律者だよ。
テオスに捕まったんだ!」
数馬がヒックヒックと泣く。
「とりあえず数馬くんだっけ?
クレープでも食べて泣くのをおやめ」
吾郎が、そう言って数馬の前にクレープを差し出す。
「ヒック。美味しい。
ヒック」
「いい子だね、僕はてっきり叩き落されると思ったよ」
吾郎が、そう言って数馬の頭をなでた。
「だってじいちゃん言ってるもん。
悪いことをしちゃいけないって!」
「ヤクザの言うことじゃないよな……」
健太がそういうと百道が言う。
「え?コード893ってヤクザなのか?」
健太の頭が痛くなった。
灰児はツボに入ったのかケラケラと笑う。
「じゃ、行こうか?」
吾郎が、そういって健太の頭をなでた。