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少女が目を閉じて死を覚悟した。
身体が軽い。
身体が宙に浮いている。
少女は、ゆっくりと目を開けた。
制服を少年が、自分の身体を軽々と持ち上げていた。
「大丈夫か?」
少年の名前は、壺 健太。
健太が、目にも止まらすスピードで少女を抱き上げていた。
そして美女の背後にまた別の少年が立っている。
そして、美女の後頭部をガツンと殴った。
しかし、美女には効いていないのかその少年の方を見て笑う。
「きゃは!あなたなかなかクレイジーじゃなーい?」
美女の目に殺気が満ちる。
「やっぱ一発目は弱いか……」
美女を殴ったのは、百道健太。
「弱い?きゃは!
でも、女の子の頭を殴るのはよくないなぁー」
美女の言葉の抑揚があがる。
美女の目は歓喜に満ちている。
「おっと」
美女の指から釘が飛んでくる。
百道はその釘を素手で弾いた。
「でも、これくらいなら弾けるな」
「これくらい?」
美女の目に再び殺気が満ちる。
「ああん?」
百道は、美女の方を睨み返す。
「私の本気みてみる?」
美女は、五本の指を百道に向ける。
そして、指から大量釘が飛んでくる。
百道は、今度は受け止めようとしないでその攻撃を避ける。
「やっば」
百道が、声を出す。
そして、今度は健太が素早く美女の背後にまわり。
そして、蹴りを浴びせた。
しかし、美女にはダメージは与えれない。
美女は健太の方に別の指を向ける。
そして、釘を放つ。
「あなたもクレイジー?
でもね、あたしはもっとクレイジーなの!」
美女の攻撃を健太は余裕を持って避ける。
今度は、百道が美女の頭を殴る。
しかし、効果がない。
「これも効かないのか?」
百道が驚く。
「きゃは!私はクレイジー!
クレイジー・クレイジー!
それが私の名前!」
クレイジーは、手のひらをパチンと叩く。
すると十本の釘が百道を襲う。
百道は、それを避ける。
「なんだ?コイツ……」
健太が、思わず声に出す。
「言ったでしょ?
私はクレイジー・クレイジー!
とってもキュートな女の子よ!」
クレイジーは、地面を蹴る。
そして、健太と百道を釘で撃つ。
釘は百道の頬をかすめる。
「痛ッ!」
「きゃは!今度は当てるわよ?
あなたの脳みそは何色なのかしら?」
クレイジーの声が嬉しそうに響く。
それは無邪気。
その表情に健太と百道は恐怖した。