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「そっか。
アンタは、ヒーローじゃないのか」
百道が、ため息をつく。
「ああ、そうだよ。
僕はヒーローじゃない」
セロは、百道の方を見る。
「いや、恩人にアンタなんていったらいけないな」
百道は、そう言って言葉を続ける。
「じゃ、師匠と呼ばせてもらうぜ!
俺を強くしてくれ!」
「……は?」
百道の言葉にセロは驚く。
「いいじゃないですか、師匠」
オトネが笑う。
「オトネまでなにを言って……」
セロが、そこまで言ったあと大きく後退した。
「おっと、気づかれちゃったみたいだなぁ。
俺は短気でよぅ。喧嘩っ早いんだ」
男は、そう言うとすぐにセロたちの視界から消えた。
そして、セロの背後のまわった。
「物理攻撃は――」
セロが、そこまでいいかけたとき男は、セロ背中に一撃浴びせた。
「おじさんの能力、バカにしていないかい?」
セロの体に衝撃が走る。
「うぐ」
セロは失いそうな意識をなんとか保ち男との間合いをあけた。
「へぇ、アンタはそんな悲鳴をあげるんだな」
男が笑う。
「お前はいったい……?」
「俺かい?
俺はただのヤクザもんだよ。
俺を超えるチンピラなんざごマンといるぜ?
ヒーローとか傭兵とか知らないがここで手こずるのならお前らはただの雑魚だ」
男が笑う。
そして、オトネの背後に周る。
「貧乳の胸をいただこうかな」
男は、オトネの胸を背後から鷲掴みした。
「お?」
すると男の体に衝撃が走る。
「お?お?おおお……」
「おじさま、オトネの断わりもなくおさわりは現金なのですますよ?」
男の体が後方へ飛んだ。
「なにをした?」
男は、不思議そうにオトネの方を見る。
「オトネの能力は、音なのです。
人間の体は、水分が豊富なので触ったら一瞬でイチコロなのですますよ?」
「面白いじゃないの」
オトネの言葉を聴いた男は、嬉しそうに笑う。
そして、男はすぐに体制を立て直し再びオトネの背後に周る。
すると今度は健太が、男の背中に一撃浴びせた。
「ぐ……」
男は、小さく唸る。
「スクリューパンチだ」
健太の目に殺気が宿る。
「うわ……
痛そう」
百道が苦笑いを浮かべた。
「効くねぇ、効くねぇ、効くねぇー」
男が、そう言って倒れている部下たちの元へ瞬間移動した。
「なんのつもりだ?」
セロが男の方を睨む。
「今日は一旦逃させてもらうよっと」
「逃げるのか?」
百道が、男の方に拳を向ける。
「それだよそれ、百道くんだっけ?
その攻撃は、何度も喰らうのはさすがの俺もやばいんでね。
でも、君たちの能力はだいたい把握させてもらったよ。
もうちょっと強くなってから俺と勝負しようぜ?」
男は、そう言って笑い声を残すとすぐにその場から部下とともに姿を消した。
「ちょっと油断したね」
セロは、そう言いながらため息をついた。
「……師匠。
俺はなにもできなかった」
百道が、悔しそうに下唇を噛んだ。
「いや、気にしなくていいよ。
アイツが、異常までに強かった。
ただそれだけさ……」
セロがそういうと健太がゆっくりと頭を下げた。
「すまない、ありがとう」
健太の言葉にセロが言う。
「いや、謝るのなら百道に言ってやってくれ」
セロの言葉に健太は、ためらいもせずお礼を言った。
「百道、ありがとう」
すると百道は照れくさそうに笑う。
「気にすんなって。
その代わり俺がピンチなときは助けてくれよな!」
健太は、ゆっくりとうなずく。
「ああ、約束は護る」
そして、その場の空気は、穏やな方向へと流れた。
4人は、駅まで軽く雑談を交わしながら歩き。
それぞれの家へと戻った。