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20

 セロとオトネは、家に帰る。
 清空は孤児院へと戻った。

 新品の匂いがする家にオトネの心が躍る。

「ご主人さま!」

「ん?」

 セロが、オトネの方を見る。

「ご飯にしますですか?
 お風呂にしますますか?
 そ・れ・と・もー」

 オトネがモジモジしながらセロの体にくっついた。

「じゃ、オトネを貰おうかな」

「へ?」

 セロの言葉にオトネはびっくりして顔を赤らめる。

「では、もも肉120グラムでよろしくね!」

「あ……」

 オトネが、涙をボロボロこぼす。

「……うん?」

「さようなら私の右足!」

 オトネはそう言って包丁で右足を刺そうとした。

「わわわわ!
 冗談だよ!冗談!ごめんごめん!」

 セロが慌ててオトネから包丁を取り上げた。
 するとオトネがニッコリと笑う。

「冗談ですますよ」

 オトネが、そう言ってクスクスと笑った。

「怖いから……」

 セロはため息をついた。

「さて、オトネは晩御飯の買い物に行くのでご主人さまはお風呂に入ってくださいな」

「あ、うん……」

「風呂掃除よろしくなのですますよー
 そして、お風呂は自分で入れてくださいなのですますよー」

 オトネは、そう言って笑うとセロに手を振った。
 セロは思った。
 女怖い……と……

 セロは、そう思いつつも風呂掃除を簡単に済ませ給湯器の電源を入れお湯張りをした。

「さて、待ち時間にテレビでも見てようかな」

 セロは、テレビの電源を入れた。
 すると優の件が、ニュースで流れていた。

「もうニュースになっているや……
 早いな」

 セロは、そう言いながらコーラが入ったペットボトルの蓋を開ける。
 そして、その直後。
 信じれない言葉が、アナウンサーの口から聞こえた。

「先程、逮捕されたボマーですがテオスにより誘拐されたそうです」

「奪還されるのも早いな……」

 セロはため息しかもれなかった。
 ある程度のことは予想していた。

 優は、テオスによって生まれた疑似覚醒者。
 疑似覚醒の方法などは内密にしたい情報だろう。
 テオスが優を消しにかかることなど想定内だった。
 それは、IGのモノも想定内だったはず……
 簡単に優を手放したのなら、もう情報を引き抜いたのかもしれない。
 セロは、そう思っていた。

 世界は暖かく世界は狭い。

 優は、もうこの世にいないかもしれない。
 だけどセロは同情しない。
 どんな理由があれ優は沢山の人を殺め傷つけた。
 少年じゃなければ死刑になっていただろう。

 だから、同情しない。
 それが彼の運命なのだろう。

 そう思いコーラーを飲んだ。

「湯張りが完了しました」

 給湯器から、アナウンスが聞こえる。

「風呂に入ろうか」

 セロは、脱衣所に向かった。

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