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 ヒーロー協会の男は、サングラスをクイッと人差し指で上にあげた。

「その少年を引き渡して貰えますか?」

 するとセロが言う。

「どうしようかな」

 するとヒーロー協会の男がため息をつく。

「そんな意地悪なこと言わないでくださいよ」

「で、この人を引き渡すにはおいくら万円もらえるのですか??」

 オトネが、そう言うとヒーロー協会の男が小さく笑う。

「まぁ、10万ドルってところでしょうか?」

 するとオトネの目の色が変わる。

「10万ドル!えっと1ドル100円として……」

 オトネがそう言うとセロが言う。

「それって最低賃金だよね?」

「そうですね。
 でも、もらえるだけありがたいと思ってください。
 貴方は非公認のヒーローなのですから」

 ヒーロー協会の男がそう言うとセロが言葉を返す。

「僕は、ヒーローじゃないよ」

「そうですね。
 だったらなおさら、お金がもらえるだけありがたく思ってください。
 彼には聞きたいことが沢山ありますから……」

 ヒーロー協会の男が、そう言って再びため息をつく。

「うるさいなぁ」

 するとゆっくりと優が立ち上がろうとする。

「ん?まだ動けるだ?」

 セロが、優に向けて人差し指を向けるがそれよりも早くヒーロー協会の男が優を銃で撃った。

「あ……」

 優は、その言葉と同時に胸を押さえる。

「おやすみなさい」

 ヒーロー協会の男はそう言って銃を再び収めた。

「殺したのかい?」

 セロが尋ねるとヒーロー協会の男が首を横に振る。

「いえ、彼には聞きたいことがたくさんありますので殺しません。
 ただ能力は封じさせてもらいました」

 ヒーロー協会の男がそう言うとセロの方を見る。

「そっか。
 それが君の能力なのかい?」

「さぁ?私は自分の能力についてはあまり語りません」

「そっか。
 じゃ、30万ドルでどう?」

「3倍ですか?」

「うん。
 プラス10万ドルは口止め料と思ってよ」

「10万ドル?
 プラス20万ドルの間違いではなくてですか?」

「僕とオトネの分だよ」

「貴方に10万ドル、オトネさんに10万ドルですか?」

「そう、ヒーローが負けて悪が勝つだなんて格好悪いだろう?」

「そうですか……
 そうですね」

「あと怪我人の応急処置は完了しているけど、その分はサービスしておくからさ」

「応急処置?
 ああ、そうですか、止血してくれたのですね」

 ヒーロー協会の男は、そう言って近くに倒れているヒーローの腹部を見てそう言った。

「見ただけでわかりますですの?」

 オトネがそう言うとヒーロー協会の男が言った。

「はい。
 そういうのは日頃の鍛錬で鍛えていますから……」

「む?ちょっと待って、私の分はないのか?
 私に10万ドルは貰えないのか?」

 清空がそう言うとセロが笑う。

「だって、清空さんはミストロにいますがヒーローの資格持っているじゃないですか」

「うむ……
 そうだな」

「30万ドル……
 まぁ、上に相談してみます」

 ヒーロー協会の男がそう言ってうなずくとセロは小さく笑う。

「うん、よろしくね」

「セロさんも、言うようになりましたね」

「うん、僕はヒーローじゃないからね。
 言いたい放題やりたい放題さ……」

「では、彼は回収しますね」

 ヒーロー協会の男がそう言うと部下を優の体に手を触れた。

「じゃ、またね田中さん」

「はい、またですセロさん」

 ヒーロー協会の男、田中が小さくうなずくとそのまま姿を消した。

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