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「IG(アイ・ジー)の方からの電話なんて久しぶりだわー
 お仕事のお依頼かしら?」

「お仕事の依頼というより警告です」

 玲音の言葉に萌は眉間にしわを寄せた。

「警告?」

「はい。
 現在枚方市内にてアインの反応がありました。
 恐らくですが覚醒した人がいるみたいです」

 低い声で玲音がそう言った。

「あらー
 それでミストロに連絡してくれたんですか?」

「そうです。
 まぁ、各ギルドに警告してます。
 今回、その覚醒した人は、高校生です。
 クラスメイト数人を怪我させてなおかつ通行人を攻撃。
 死者も出ているようです。
 未成年のため名前は非公開。
 爆弾を自在に操る能力を持っていることから通称ボマーと呼ぶことになりました」

「大変ねぇ……」

 萌は他人事のように呟いた。

「萌さん。
 反応はそちらに向かっています。
 何人かのヒーローも倒されてしまいました」

「え?ヒーローが負けたのですかー?」

「はい。
 負けてしまいました……
 ヒーロー側には死者は出ていないことが救いです」

「そんなにつよいのですか?
 覚醒したてなのでしょう?」

「そうなんですよ。
 でも、その高校生のほうが強いのです。
 戦ったヒーローの見立てでは『触れたモノを爆発させる』能力の可能性が高いらしいです」

「それは困ったわね」

 萌も困った表情で目を閉じた。

「……その高校生を倒せばいいのかい?」

 するとセロの声が萌の耳に届く。

「セロくん」

 萌がセロの方を見る。

「萌さん、その高校生を捕獲すればどれくらいの賞金が出るんだい?」

 セロの質問に玲音が電話の向こうから答える。

「セロさんもいるんですね」

 萌は、電話をスピーカーモードに変えた。

「ああ、いますよ。
 レインさん」

「オトネもいるですますよー」

 オトネがセロの背中からひょっこりと現れる。

「今回のボマーへの懸賞金は最低10万ドルは保証されています。
 ただし、彼の実力や能力が高く負けた場合の命の保証はできません」

「大丈夫だよ
 僕は、そのボマーってやつには勝てる自信がある」

「わかりました。
 ボマーの位置情報をセロさんのスマホに転送します」

「うん。
 おねがいします」

 セロは自信に満ちた声で言った。

「はい!
 では、健闘を祈ります!」

 玲音は、そう言って電話を切った。

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