01
少年は、空を見上げる。
少年の名前は、セロ。
16歳の今日、孤児院を出る。
孤児院の人たちは、「まだ早すぎる」とそれを止めた。
しかし、セロは決めていた。
今日という日に、孤児院を出て世界を見ると……
本当にヒーローが、世界の味方なのかを確かめるために……
「今までお世話になりました」
セロは、小さく頭を下げた。
孤児院の先生たちは、小さく笑いセロの手を握りしめた。
「また、いつでも帰ってきてね。
ここは、貴方の家でもあるのだから……」
セロが、小さく笑い返した。
すると女の子の声がセロたちの耳に届く。
「ご主人さまー」
セロの元にトコトコと大きなリュックを背負った女の子が近づいてきた。
「オトネ？
もう、ご主人さまというのは、やめていいんだぞ？」
セロのその言葉にオトネが笑顔で答える。
「ご主人さまは、オトネにとってご主人さまなので、ずっとご主人さまでご主人さまなのです！」
「えっと……？」
オトネの言葉にセロが戸惑う。
「つまり、ご主人さまはご主人さまなのです！」
オトネが、ビシっと指をさす。
「まぁ、それでいいや」
セロは、どうでもよくなった。
「で、ご主人さま私をおいてどこに行くのです？
「旅に出るんだよ。
前に言ったよね？」
するとオトネがニッコリ笑う。
「聞いたのです！
だから、聞いているのです！
私をおいてどこに行くのです？
オトネは、死ぬまでご主人さまのメイドですよ？」
「オトネは、それでいいの？」
「オトネは、お婆ちゃんのお婆ちゃんのお婆ちゃんの代からご主人さまのお婆ちゃんのお婆ちゃんのお婆ちゃんの代からメイドなのです！
だから、オトネもずっとご主人さまのメイドなのです！」
セロは、戸惑う。
しかし、オトネの表情は自信に満ち溢れていた。
