28
その子は、涙を流すことしかできなかった。
何もない空。
何もない雲。
何もない天井。
全てが、どうでもよくなった。
僕は、何をしているのだろう?
さっきまで、生きていた大好きな人はもういない。
死んだんだ。
動かない。
その人の声も届かない。
ただ切なさとむなしさが少年の心を揺さぶっていた。
「えーん」
その子は、泣いている。
大好きな人が死んで、その子は一人ぼっちになった。
誰も、その子の事を受け入れようとしなかった。
葬儀中、その子は泣かなかった。
強く生きる。
そう約束をしたから……