27
何もない白い空間。
そこには、その子と大好きな人のふたりしかいない。
「ねぇ
ゆびきりをしようか?」
「ゆびきり?」
「私が死んでも強く生きるって約束の指切り」
「ヤダ!お姉ちゃん死なないで!」
大好きな人は、震える手で小指を差し出した。
「ゆびきりげんまんしよ…?」
「君は、もっと強くなることをお姉ちゃんと約束して」
「うん」
その子は、涙を流しながら軽くうなずいた。
その子は、涙を拭いて小指を差し出した。
「ゆびきりげんまん、嘘ついたらハリセンボン飲ます。
ゆびきった」
大好きな人は、ニッコリをほほ笑むと動かなくなった。
先ほど触っていた手から温もりと言うのが消えていく。
消えていく温もり……
それが、何よりも怖かった。