26
「えーん」
その子は泣いている。
意味もなく泣いている。
どうしてないているのだろう?
わからない。
夢で見るその子は、毎日毎日泣いている。
隣には大好きな人がいる。
大好きな人は、その子に言うんだ。
「つらいのは君だけじゃないんだよ」
でも、泣いている子は泣き止まない。
だんだん、声がでかくなってくる。
大好きな人は、その子に目線を合わせて言うんだ。
「お願いだから泣かないで……」
それでも、その子は泣き止まない。
大好きな人は、その子を力強く抱きしめた。
「ねぇ……
僕は捨てられるの?」
大好きな人は何も答えない。
「僕、良い子にするから捨てないで」
「ごめんね」
大好きな人は、寂しそうに言った。
「僕、良い子にするから、一人ぼっちにしないで!」
「ごめんね……」
気づいたとき大好きな人は、ベットに横になっていた。