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「えーん」

 その子は泣いている。
 意味もなく泣いている。

 どうしてないているのだろう?
 わからない。

 夢で見るその子は、毎日毎日泣いている。

 隣には大好きな人がいる。
 大好きな人は、その子に言うんだ。

「つらいのは君だけじゃないんだよ」

 でも、泣いている子は泣き止まない。
 だんだん、声がでかくなってくる。

 大好きな人は、その子に目線を合わせて言うんだ。

「お願いだから泣かないで……」

 それでも、その子は泣き止まない。
 大好きな人は、その子を力強く抱きしめた。

「ねぇ……
 僕は捨てられるの?」

 大好きな人は何も答えない。

「僕、良い子にするから捨てないで」

「ごめんね」

 大好きな人は、寂しそうに言った。

「僕、良い子にするから、一人ぼっちにしないで!」

「ごめんね……」

 気づいたとき大好きな人は、ベットに横になっていた。

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