孤独
「それでは席を移動してください」
司会者の声で一つ席がずれる。
目の前に来たのは脂ぎった小太りの男だ。わたしを見て眉を顰める。こんな奴にまで嫌悪されるなんて。
もう何回目の婚活パーティーだろう。期待して会員になったけど全然相手が見つからない。
確かにわたしは美人じゃない、けどブスでもない。身なりも悪くないし、仕事だってできる。
なのになんで選ばれないのだろう。
わたしより見劣りする女でも楽しげに男と会話しているのに。
ここに来ても結局一人。なぐさめ合う仲間もできやしない。
眉間に皺が彫れて回を重ねるごと本数も増えた。
男に向ける隣の女の笑顔にムカつく。相手のでれでれした顔も不愉快だ。
あー、腹が立つ。憎い。恨めしい。
みんな不幸になればいい。いやいっそ死ねよ。
「彼女、もう使えそうね」
「はい社長」
「後で別室に閉じ込め処理して。いい蠱毒に仕上がりそうだわ」