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「でも、悲しいことに魔力は君のもの。
そして、あの状況で女の子の100人や200人消えても誰も気づかない」
13の言葉にカリュドーンはため息をつく。
「もしかしてガイルがやったとでもいうのかい??」
カリュドーンが13に尋ねる。
13は、淡々とした口調で言葉を放つ。
「その可能性はあるね。
ガイルなら君の魔力に似せることもできる。
フィサフィーに封じられたんだからテオスの指揮下に入ることも考えれる。
そして、恐らくあの魔力はカリュドーン、君のクローンの仕業だろう」
「だが、クローンであそこまでの魔力を放てば死ぬぞ?」
六騎がそういった。
しかし、すぐになにかを思いついたように「あっ」と言った。
「そうなのよね。
ここでガイルの能力、『無限の再生』を相手に与える能力発揮ってわけなのよね」
シンフォニアがそういうとティコが慌てる。
「ちょっとまって、そしたら私たち勝ち目なくない?」
「そうだね。
人類滅亡までのカウントダウン開始!ってところだね」
13がそう言って笑う。
「まぁ、ただでは負けんがな」
そう言って清空が現れる。
「あー、うさぎさんのお姉さんお久しぶりだね」
カリュドーンが小さく笑う。
「久しいな、たぬきさん」
清空はそう言ってケッケッケと笑う。
「清空さん、もう付近の人々の避難は終わったのですか?」
シンフォニアがそういうと清空がうなずく。
「ああ、パンドラ艦、スタンレイ艦、アンゲロス艦の3艦が力を合わせればこの辺の住人など一瞬で回収できる」
「科学の力ってすごいね」
カリュドーンが笑う。
「というわけだ、たぬきさんよ。
この場を離れても大丈夫だぞ」
「えー、でも、爆発しないの?」
「恐らくだが爆弾はない」
「え?」
清空の言葉に一同が驚く。
「熱源反応はあるよ?」
13の言葉に清空はため息混じりに言う。
「とりあえずたぬきさんや。
この場を離れてみよう」
清空の案内でカリュドーンたちは、この場を離れた。
するとカリュドーンがいた場所から一発の花火が舞い上がる。
ひゅうるるるるるどーん。
花火から文字があがる。
【おつかれさま】
「どういうこと?
サイレント地雷の魔力は感じれたのに……」
13が、清空の方を見る。
「私からすれば、そんな精密な魔法地雷をこの辺一体に撒くのにかかる時間は数日かかる。
しかも、それにはたぬきさんの積極的な魔力提供を行った場合に限りだ」
清空の言葉にシンフォニアはため息をつく。
「やっちゃったかー」
「でも、それだったら周辺の人々を避難させる意味はなかったんじゃないの?」
13がそういうと清空が言う。
「念には念を……っていうだろ?
さぁ、たぬきよ。
私たちは正式にファルシオンにお前を戻そうという話をしている」
「いいのかい?」
「このことはスラッグ王も承認している。
というか、スラッグ王の発案だ。
誰にも拒否権はないさ」
スラッグ王。
世界を束ねる人間の中の王の王だ。
その実力は、神々に匹敵するといわれ、神に対抗する組織ファルシオンを結成した。
いつかはやってくる人類の敵と戦うために……