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 世界を護る。
 カッコいい人になりたい。
 男なら誰しもいちどは思う夢だ。
 スラッグ王もその中のひとりだ。

 8歳にして、ありとあらゆる武術を身に着け。
 魔道士としての能力が高い。
 それが、スラッグ・エルザードという男だ。

 目の前にいるのは、30000を超えるニワトリ。
 ニワトリは一度にタマゴを数十個生むことができる。
 それは一瞬で数万から数億。
 数億から数兆のニワトリが生まれることを意味する。

 スラッグは、そのニワトリに拳を軽く空振りさせた。
 その瞬間、ニワトリは半分減った。

「クケー!!」

 ニワトリが叫ぶ。

「流石に数が多いな」

 スラッグは、そういって苦笑いを浮かべた。

「……王さま、遊んでいないでさっさと倒してください」

 そういったのはファルシオン遊撃隊隊長のキサラギだった。

「……キサラギさらっと現れてさらっと恐ろしいこと言うね」

「なにか言いましたか?」

 キサラギは少し目を尖らせる。
 そして、ニワトリを200匹ほど魔法で倒した。

「少ないね、もっと本気を出さなきゃ!」

 スラッグはそういって笑って10000万匹のニワトリを一息吐くようにして倒した。

「王さま……
 護衛いりますか?」

 キサラギが、そういうとスラッグは言う。

「僕は君を護衛のつもりで呼んだんじゃないよ」

「え?」

「キサラギ以外に僕の愚痴を聞いてくれる人いないからね」

「いやいや、愚痴って誰にでも放っているじゃないですか」

「まぁ、いいじゃないか。
 拳一突きであの程度のニワトリなら滅びる。
 あらよっと」

 スラッグは、拳をひとふり。
 新たにタマゴから産まれたニワトリを含めて30000匹のニワトリが消滅した。

 この強さは異次元。
 今の人間にスラッグのようにこんな簡単にニワトリを倒せるものはいないだろう。

「王さますごいですね。
 はい、おしまい」

 キサラギは、その場から離れようとした。

「キサラギ聞いてくれよ。
 嫁のやつがさー」

 スラッグはキサラギに愚痴を放った。
 キサラギはこのあと5時間愚痴を聞いた。

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