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「んー。
君、なんか見たことあるね」
カリュドーンがそういって指先をバビロンの方に向ける。
そして指を鳴らすと炎の渦がバビロンを燃やす。
「きゃー酷い。
酷いじゃないの!」
バビロンが気迫でその炎の渦を振り払うとカリュドーンに向かって水球をぶつける。
「なんですか?これ……」
天使も服にその水球のしずくに当たる。
するとその水球がずっしりと重くなる。
「きゃ……」
天使の身体がずっしりと重くなる。
しかしカリュドーンには重りなど気にしない様子でバビロンの背後にまわる。
背中に触れ直接炎を打ち込んだ。
「ぎゃ……」
バビロンが悲鳴をあげる。
「この痛み……君には耐えれないだろう?」
バビロンにそう言い放つカリュドーン。
しかし、バビロンの顔には笑みがある。
「こんな痛み……出産の痛みに比べたら痛くなんて何でもないわ!」
そういってバビロンが気迫でこの痛みを打ち払った。
「んー
生身ではちょっとつらいわね」
バビロンはそういって大きく後退しドールを召喚した。
ドールの名前はホステス。
本来は補助を得意とするドールだが、戦っても消して弱くはない。
「あー。ドールか……
僕も持っていたな。
タヌキ出ておいで」
カリュドーンの影からゆっくりとタヌキが現れ、そして人型兵器へと姿を変える。
そして、カリュドーンはタヌキに搭乗した。
「ふふ。
それ、もしかして見た目がタヌキだからタヌキって名前なの?
それとも昔の名前が由来かしら?」
「んー。どっちでもいいじゃないかな?
君はこれから死ぬのだから」
「あら?死ぬのは貴方よ?
そして毛皮のパンツにしてあげる!」
バビロンがそういって天使の方を見る。
「そうね、貴方はパンツを剥いでオーク共の奴隷にしてあげる。
オークって性欲が人の数倍はあるのよ?」
バビロンの言葉に天使は震える。
「大丈夫だよ。
天使さん、君は――」
カリュドーンが、そこまでいいかけたとき天使は服を脱いだ。
「って、え?」
カリュドーンが驚く。
「服が濡れてしまったので脱ぎました」
天使がそういうと小さく照れる。
「ためらいもなく服を脱ぐなんて、貴方もなかなかの破廉恥ね!
でも、こうしたらどうなるかしら?」
バビロンが天使に向かって水球をぶつけようとする。
「んー当たらなければ問題ないです」
天使が、かるがるとその水球を弓矢で貫いた。
「貴方……なにものなの?
この水球。狙ったものは逃さないのよ?
それをいともたやすく破壊するなんて……」
「私の名前は、シンフォニア。
こう見えてファルシオンの再生部隊の隊長さんなんですよ?」
「ファルシオン……?」
バビロンの動きが止まる。
その瞬間を逃すまいと一体のドールがホステスの背中を槍で貫いた。
「やったか?」
そのドールからはまだ幼い少年の声がした。
「やってないわよ!」
バビロンは、飛び散った水滴を魔法で背中に集め傷を回復していく。
「だったらこれはどうかしら?」
今度もまだ若い女の子の声とともにバビロンの背中に電流が走る。
「きゃぁぁぁぁぁ」
バビロンが悲鳴をあげる。
「おや?君たちの魔力はもしかして……」
「カリュドーンさん。
そうです私たち、みんなファルシオンなんですよ?
以前お会いしましたよね?」
若い女の子がそういうとカリュドーンは首をかしげる。
「うん、名前はわかんないけど。
君たちふたりは会ったことがあるね。
僕の家で……」
「はい、改めて自己紹介するわ。
私は、ティコよ」
「俺は、六騎だ」
女の子と少年が軽く自己紹介をした。