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 残されたのはたぬきとフィサフィー。
 フィサフィーは、生身ではたぬきに勝てないことを理解していた。
 たぬきは、フィサフィーの部下を倒すことで炎を自在に操る能力を身につけた。
 神々の英雄さえも倒しその姿を変えた、名もなきたぬき族の亜人。
 その炎さえも燃やし灰に返す存在。
 神々は口をそろえていった。

「まるでカリュドーンの猪のようだ」

 たぬきは、力を手に入れさらに力をつけ。
 神々を恐れさせた。

 フィサフィーは、対人兵器ゴット・ドールを開発しそれに搭乗したぬきを倒しに向かった。




「なにそれ?」

 たぬきは、そういってフィサフィーを睨む。

「これは対人兵器ゴット・ドール。
 亜人といえば人。
 このロボットは主ら人を殺す兵器じゃ!」

 フィサフィーは、そういってたぬきに向かってライフルを放つ。
 たぬきは、そのライフルを炎で燃やす。

「それで僕を殺す気かい?」

「まさか効かぬとな?」

 フィサフィーは驚く。

「死ぬのは君さ……」

 たぬきは、そういってゴット・ドールの左腕を炎で破壊した。

「く……一旦引くか」

 フィサフィーはそういってその場を撤退した。
 するとそれを見計らったようにひとりのうさぎの亜人が現れる。
 その姿は女子高生というに相応しい姿をしていた。

「君は誰だい?」

「私か?私の名前は清空だ。
 ガイルに妹が捕まっていると聞いてな。
 助けに来た。ガイルというのはお主か?」

「違うよ。
 そうか、君がうさぎさんのお姉さんだったんだ」

 たぬきは、小さく笑った。

「妹の名前はうさぎさんじゃない。
 水色だ。美しい容姿を持った妹だ。
 今、どこにいるか知らないか?」

「わかんない。
 うさぎさん、じゃなかった水色さんはガイルによって【永久の治癒と不老】の魔法をかけられたよ」

「そうなのか?
 では、生きて入るのだな?」

「死ねないと思う」

「そうか」

「水色さんにはいろいろお世話になったんだ。
 助けれるのなら助けたいな」

「ありがとう」

 清空が微笑む。

「僕に出来ることがあればいって」

 たぬきがそういうと清空が尋ねる。

「では、まず名前を聞かせてもらおうか?」

「僕の名前はたぬきだよ」

「それは名ではなく種族だろ?」

「そうだけど、みんな僕をたぬきと呼んでいたよ」

「みんなが主を呼ぶ名はカリュドーンの猪だ」

「え?変だな。僕はたぬきなのになんで猪なんだろう」

「猪突猛進じゃないからじゃないか?
 お主の炎は荒れ狂う獣だ。
 その炎の姿はまるで猪のようで。
 その破壊力は神話に出てくるカリュドーンの猪の再来といわれている」

「んー、ややこしいね。
 じゃ、僕はカリュドーンだけでいいや」

「そうか?では、主は今日からカリュドーンだ」

「うん」

 カリュドーンがうなずく。

「私の名前は詩空 清空。
 まだ未結成のファルシオンのメンバーを探しているんだ。
 私のポジションは兎だ。
 主は恐らくこのファルシオンのメンバーに相応しい存在だと思う。
 どうだファルシオンのメンバーにならないか?」

「そこに入れば水色さんは助けれそう?」

「ああ。水色どころかこの世の困っている人全てを助けたい。
 そういう意思を持ったモノだけがあつまる組織だ」

「そっか。
 だったら入りたい」

「わかった。
 スラッグ王に直談判させてもらう」

 こうしてたぬきはカリュドーンの名を手に入れ。
 カリュドーンは、ファルシオンの傘下に入った。

 そして、時は戻る。



「あー。
 ねぇ、天使さん」

 カリュドーンは、アンゲロスの指示でやってきた天使に声を掛ける。

「はい、なんでしょう?」

「水色さんは見つかった?」

「ファルシオン部隊清空さまの妹さんですね。
 まだ見つかっていません」

「そっか。
 元気にしているのかな」

 カリュドーンは、空を再び見上げる。

「あー、天使さん。
 僕の影に隠れて」

「え?」

 驚く天使の腕を強引に引っ張り大きく後退した。

「あら?まだアンタ生きていたんだ?
 バカだぬき。そんなに私のパンツになりたい?」

 そういって現れたのは、大淫婦バビロン。
 モトフミの部下で愛人のひとりだ。

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