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「うーん」
13は困る。
「うーん?」
カリュドーンも困った真似をする。
「とりあえず、僕と来てくれる?
アンゲロスに戻ろう」
「それはできない」
カリュドーンがあっさり拒否をした。
「どうして?」
「僕がここを離れたら世界の均等が崩れる」
「え?」
「ここには魔法地雷があるんだ。
僕の魔力が離れたら爆発しちゃう」
カリュドーンの言葉に13は驚き目に魔力を込める。
するとこの地域一帯に魔法地雷が埋められていることに気づく。
「本当だ……
気づかなかった」
「うん、いわばサイレント地雷だね。
それに僕の魔力に隠れてしまう。
こまったもんだよ」
「そうだね。
というかどうしてアンゲロスの牢獄を離れたんだい?」
「話せば早いよ?」
「早いのなら聞くよ?」
「そうだね。
僕をこの場所につれてきたのは多分テオスだよ。
人質を取られてここに連れてこられた。
そして、僕の髪の毛一本奪っていったんだ」
「髪の毛を……?
クローン技術の発達しているテオスならやりかねないね」
「うん」
「人質って誰?」
「僕の監視をしていた赤い眼の女の人の妹さん」
「名前は?」
「聞いたけど忘れちゃった」
「お姉さんの方の名前は?」
「そっちも忘れちゃった。
赤い眼が特徴の姉妹だよ。
お姉さんがとっても強いんだ。
でも、妹さんを人質に取られてアンゲロスを裏切って今はテオスについている」
「君なら人質を取ったテオスを倒せたんじゃなかったの?」
13の素直な質問だった。
恐らくカリュドーンならモトフミのシールドを破壊するだけの攻撃力を持っているからだ。
「そうだね。
でも、そうなると妹さんも傷つけちゃう。
そして、それよりも早くテオスのその人は妹さんを殺すだろうね」
「誰に人質を取られたの?」
「えーっとなんだっけな……
誰よりも攻撃するのが早いって人だよ。
テオスでも有名な人、多分幹部」
「うーん。
もしかして疾風のハヤテ?」
「あー。そんな感じの人。
僕、名前を覚えれないんだ」
「よく僕の名前覚えれたね」
「13は君の名前じゃないでしょ?」
「そうだね」
「『君の名前を教えて』って映画あったね」
「知らない」
「情報通の君でも知らないのか。
僕、映画が見たくてお姉さんに頼んだんだけど。
ダメだって言われて喧嘩したな。
懐かしい」
カリュドーンは遠い目でそういった。
「もしかして『君の名は』のことを言っている?」
「あー、それそれ。
僕の後後後世から僕は♪君を探すよー♪♪
そのぶきっちょなツンデレの探して♪来たんだよー♪♪」
「なんかいろいろ間違えているね。
でも、正しい歌をここで歌えばいろいろ怖い時代だからねそれでいいよ」
「うん。
いろいろ怖いね。
まぁ、そんなわけでここからは僕は出れない」
カリュドーンは笑う。
「わかった。
でも、とりあえずアンゲロスにここの場所の報告はしておくよ。
地雷を解除できるかもしれないし。
なによりこの状態はよくない」
「うん」
「あとハヤテを殺して妹さんを助けお姉さんを解放する。
そうしたら僕は君を味方につけてモトフミを殺す」
「わー。
ボクっ男が殺す殺すを連呼してる」
「そりゃいうよ」
「どうしてだい?」
「だって僕は殺し屋13なのだから」
そういった13の表情はどこか淋しげだった。