33
世界は丸く残酷だった。
13は、まっすぐと前を見る。
なにもない世界。
真っ白な世界だった。
カリュドーンの猪の後は黒い灰は残らない。
燃え跡は白く残る。
しかし、大阪を襲ったと言われるカリュドーンの猪は炎さえも燃やした炎。
少し性質が違う気がしてた。
そのため13は、会おうと思った。
カリュドーンに……
「やぁ。13!久しいね」
少年が小さく笑う。
「久しぶり、カリュドーンさん」
13が、真面目な顔でそういった。
少年の名前はカリュドーン。
世界で最も攻撃力が高いと言われる男だ。
「君から会いに来るなんて珍しいね?」
「君の方から会いに来ることもないよね?」
13が冷たくいう。
「怒っている?」
「うん。
とっても」
「どうしてだい?」
「大阪を沈めたのは君じゃないよね?」
「何の話だい?」
13は、ため息混じりに言った。
「今、大阪が黒い灰になった。
炎さえも燃やされ真っ黒焦げさ」
「それ僕がやったというのかい?」
カリュドーンがいう。
「違うよね?」
「僕が燃やした炎の跡は白いよ?」
「知ってる」
「だったらどうして怒っているんだい?」
「君がやってないのなら名乗り出て欲しい。
そうしないと君が疑われるだけだ」
「んー、めんどいからいいや」
「そうしないと君が――」
13がそこまで言いかけたときカリュドーンは言葉を止める。
カリュドーンが笑っているからだ。
「君が信じてくれているのならそれでいい」
そういったカリュドーンのその笑顔は誰よりも優しかった。