26
「なにこれ……
大阪が火の海じゃない」
そういったのは、魔王サタンの七番目の娘。
柊 万桜(まお)。
16歳。
勇者になりたいちょっと変った魔王の娘だ。
「くけーーーー」
ニワトリが魔王の前に現れる。
「柊一刀流。一閃!」
万桜は刀を抜き。
ニワトリを切りつけた。
ニワトリは2つに別れ……
そして、息絶えた。
「ニワトリの匂いが残っている。
さっきの子は生き残りかしら?」
万桜は小さくつぶやき空を見上げた。
空はどんよりと曇っている。
「万桜、お空の上になにかいるよ?」
そう言ったのは万桜の使い魔であるファングだ。
赤茶の猫の姿をしている。
「うん。
ファング、ドールになって」
「わかったよ万桜」
ファングはそういうと身体を丸めるそして輝くとエレメント・ドールになった。
ドールの名前は、レッド・ファング。
「ありがとう」
万桜はそういうとドールの中に入った。
「万桜、上に上がろう」
ファングがそういうと万桜はうなずく。
「ええ」
万桜は上昇し空へと登った。
「あ……」
ファングが声を漏らす。
「巨大戦艦みっつ」
万桜がそういうとレッド・ファングの頭に銃口が向けられる。
「お前何者だ?」
そう言ったのはバルドだ。
「えっと。魔王サタン、七番目の娘――」
万桜がそこまでいいかけたとき言葉を放つのをやめた。
そして、ブリ男が変わりに答える。
「あれ?万桜さんじゃないですか?」
「……あ、ブリ男さん?」
万桜が驚く。
「知り合いか?」
バルドが銃をさげた。
ブリ男が小さく笑うと言葉を続けた。
「はい。
彼女は友好的な魔王サタンさんのご息女です」
「サタンの娘……?」
「そうです」
万桜が小さく笑う。
「魔王降臨か?」
焔が嬉しそうに笑う。
「焔。
お前はミーティングに参加しなくていいのか?」
バルドがため息混じりにいった。
「ミーティング。
自己紹介が終わったあとは退屈だから出てきた」
「そうか」
バルドはもう一度ため息をついた。
「あ。そっか。
万桜さんは、学校に入学するためにこっちに来てたんですね」
「はい。
勇者が沢山誕生したエレメント学園に入ろうかなって思ったんですが……」
「あの稲妻を目撃したんですね?」
「はい。
あの魔力は、カリュドーンの猪ですか?」
「恐らくそうでしょうね」
「なんであんなのがこっちに来ているのですか?
あれはアンゲロスによって厳重に管理されているんですよね?」
「何者かが脱走の手助けをしたみたいですね」
「そんな……」
「確証は出来ませんが、ニワトリが出てきた以上テオスの仕業でしょうね」
「そうでしょうね」
万桜がうなずく。