25
あいうは、心を落ち着かせる。
両親は亡くなった。
それは今の状態を見れば明らか。
あいうは、ブローチに思いを託す。
そして――
あいうの前に人型の機械が現れる。
「あ……」
あいうは、思わず言葉を漏らす。
「できましたね」
ブリ男が優しく笑う。
「はい」
「名前はわかりますか?」
ブリ男の質問にあいうは、答える。
「『マジックナイト』です」
「いい名前ですね」
「はい」
「スカートもかわいいですね。
まさしく魔法少女の名に相応しいドールです」
「こけーーーーー」
ニワトリが威嚇するかのように雄叫びをあげる。
「さぁ。あいうさん。マジックナイトに乗り。
あのニワトリを倒すのです」
「はい!」
あいうは、マジックナイトの足に触れた。
するとあいうの身体がマジックナイトに吸い込まれる。
その瞬間、あいうの目の前に見知らぬ操縦席が視界に映る。
「愛の雨が燦々(さんさん)降るよ!
魔法少女あいう!ここに見参!」
あいうは、そういってポーズを決める。
「バッチシですね!」
ブリ男が微笑む。
「凄い!私が思った通りドールが動く!」
あいうが、楽しそうにはしゃぐ。
「そうです。
ドールはロボットアニメの用にエネルギーはありません。
ですから、貴方の想像力が続く限り動きます。
ですが、気をつけてください。
想像力が切れたとき……ドールは動かなくなります」
「はい」
「では、あのニワトリさん。
やっちゃってください」
「はい!
ミラクルビーム!」
あいうは、そういってステッキからビームを出しニワトリに命中させた。
「ぐけーーーーー」
ニワトリの胸元に穴が空き。
そしてニワトリは絶命した。
「一撃ですか……
すごいですね」
ブリ男は、次の瞬間さらに驚く。
マジックナイトの身体が光る。
「あ……なんだろうこの感じ」
あいうの身体が熱くなる。
それは心地いい温もりだった。
「レベルアップですか?まさか。
ニワトリを一匹倒しただけで?この世界でも?」
ブリ男が、そういうと頭上を大きな轟音が鳴り響く。
「地震?」
あいうが我に返る。
「そのようですね。
震源は近いです。いってみましょう」
ブリ男がそういって宙に浮き移動する。
あいうもそれについていく。
「あ……」
あいうは、思わず声を出す。
「あそこにいるのは、ドールですね。
でも、かなり疲弊してますね」
「はい。
あ、地面の中」
「ん?」
「地面の中になにかがいます」
あいうは、そういって疲弊しているドールの前に現れる。
「え?何……?」
そのドールは、シエラのモノだ。
空に浮いている13たちは、あいうの存在に驚き動けない。
そして、あいうはシエラに向かってミラクルビームを放った。
「やめろおおおおおお!!」
焔が怒鳴る。
しかし、ミラクルビームは全てシエラの身体にかすめることなく。
全て地中に向かって降り注いだ。
「え?」
シエラは驚いている。
「ん。快感かも」
あいうは、小さく笑う。
あいうのレベルがかなりあがったようだ。
なぜなら地中にいた地中兵器モグラを全て破壊したからだ。
「モグラを倒したのか?」
ゾロが驚く。
「あら?みなさんごきげんよう」
ブリ男が挨拶する。
「ブリ男さん、お知り合いですか?」
あいうは、ブリ男に尋ねる。
「いや、知らん。
誰だ?」
バルドがそういうとブリ男が自己紹介をした。
「なんだかんだと聞かれたら?
答えてあげるが世の情け、世界の破滅をふせぐため世界の平和を守るため愛と真実の悪を貫く
魔界の果てからこんばんは。
私、魔界ブリタニ王国営業部平社員のブリ男と申します」
ブリ男がとびっきりに営業スマイルで挨拶をした。