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「では、戻りますよ?」
ブリ男がそういうとあいうが首をかしげる。
「戻るって?」
「地球へ……です」
「地球?」
「はい」
「これって異世界に来た私が魔王を倒すって話じゃないんですか?」
「あいうさんにとって魔王は上司ですよ?」
「え?」
「魔を司るモノ。
すなわち魔女。
魔法を使う女の子。
それが魔法少女。
魔法を提供するもの。
それが魔王です」
「そんな複雑なんですか?」
「まぁ、魔法学に関しては後々教えます。
ですが、貴方はとりあえず人が魔法を使う魔法循環器を手に入れました。
貴方は地球に戻り魔法少女としてドールに乗って戦ってもらいます」
「ドールですか?私は、適性検査に落ちてしまったので乗れないはずですが……」
「大丈夫です。
今の貴方はドールを乗るのに相応しい存在です。
さぁ、時間がありません!
移動しますよ!衝撃の備えてください!」
ブリ男は、そういって指をぱちんと鳴らした。
すると世界は歪み。
空間を移動した。
その世界は火の海。
「なにこれ?」
あいうは絶句した。
「これが今の日本、大阪府枚方市です」
「お友だちは?お父さんやお母さんは?」
「お友達はわかりませんが。
ご家族はもう亡くなっているでしょうね」
「そんな……」
あいうは、涙を流す。
「残酷のようですが。
泣いている暇はないようです」
ブリ男の言葉にあいうは顔を上げる。
目の前にはニワトリが一匹いる。
「ニワトリ……」
「さぁ、あいうさん。
戦うのです!」
「でも、私はドールの適性が……」
「大丈夫です。
今の貴方のドールの適正値はSSSです。
優秀なドール使いです。
早速ですが授与しますよ?」
「はい」
あいうは、涙を拭いうなずいた。
「ささこらさっさー」
ブリ男は、指先をくるりと円を描くとあいうの胸元のブローチが光る。
「ブローチ?」
「それが貴方の心具です。
思い入れのあるものが心具になります。
大事なブローチなのですね」
「はい。
お父さんに貰ったブローチなんです」
「そうですか。
では、祈ってください。
心具にそして召喚するのです。
エレメント・ドールを!」
ブリ男が、そういってあいうの方を見た。