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「強くなれるのですか……
この世界に来たことすら実感ないので強くなれると思っても実感がないよ」
あいうが、戸惑いながら言うとブリ男はお構いなしに話をすすめる。
「魔法少女の試験は合格です。
なので、変身したあとの決めポーズや決め台詞を考えなければいけませんね。
一番ベターなのは……
『死と滅びと滅亡の元に美少女魔道士魔法少女あいう!ここに見参!
魔王に変わって、塵に返すわよ!』
ですね」
ブリ男がそう言うとあいうが、顔を真赤にして言う。
「えー。
自分で美少女とか言っちゃうんですか?」
するとブリ男が、あいうを励ます。
「微少女の方がいいですか?」
「それはそれで、ちょっと抵抗が……」
「そうですか。
じゃ、どんなのがいいですか?」
「やっぱり正義の味方なんだから……
『愛と希望の名のもとに魔法少女あいう!ここに見参!』とかがいいかなー」
するとブリ男が、ため息をつく。
「いいですか?あいうさん。
貴方は、魔道士、つまり『魔』の意味をご存知ですか?」
「へ?」
あいうは、目を丸くして驚く。
「魔の道を歩むモノ。
魔法少女とは、魔を力を借りる少女。
つまり、愛とか希望とかとは違うんです」
「それで死と滅びと絶望なんですか?
そりゃじゃ、悪魔みたいじゃないですか」
ブリ男はニッコリと笑う。
「そうですよ?
僕は魔族。あいうさんは魔法少女。
つまりは、魔です。
魔法少女も魔です。
魔に所属する限り貴方は、魔に属するもの魔族です。
だから、愛と希望は敵です」
「あーうー」
あいうは、少しだけ泣きたくなった。