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あいうは、スライムに近づき拳を当てる。
そしてすぐに手を引っ込める。
「あっつい!」
あいうは、涙目で拳を抑えた。
「なかなかの勇者ですね。
魔法少女なのに魔力を込めない拳で武道家の如くスライムに攻撃する!
スライムの皮膚は酸性なので、ヘタすると火傷しますよ?」
ブリ男は、宙に浮きティーカップで紅茶をすする。
「そんなの早く言ってよ!
ってか、魔力の込め方なんてわかんないよ!」
するとブリ男が答える。
「魔力の込め方は……
そうですね、気合を込めればいいと思いますよ。
そして、貴方は魔法少女なのですから心具を召喚して戦うことをおすすめします」
「心具?」
「心の武器です。
貴方専用のオリジナル武器です。
アドバイスするなら、魔法少女らしい武器が貴方に合うんじゃないでしょうか。
さぁ、心のなかでイメージするのです!
貴方だけの心具を!
敵は待ってくれませんよ!」
ブリ男が、ビシっと指からビームを出しスライムを一匹消滅させた。
あいうは、驚く。
「それが、魔法?」
「そうです。
これが魔法です。
貴方にも出来るのですよ?
なぜなら貴方は、魔法少女なのですから!」
「やってみます!
まずは心具ですよね!」
あいうは、イメージした。
剣がいいかな?
でも、剣なんて使ったこと無いし。
じゃ、魔法少女……だから……箒?
でも、箒なんて武器にならないよね。
ゲームだと魔法使いは、杖だよね。
杖……殴っても攻撃できる……
攻撃力はないけど……
でも、杖にしよう。
あいうは、杖をイメージすることにした。
杖……可愛らしいのがいいな。
魔法少女らしく可愛いのが……
色は白。ハートのマークがあれば可愛いよね。
あいうに、その杖の名前が思い浮かぶ。
――ミラクルステッキ!
あいうの手に魔法の杖が現れる。
「ほう。
なかなか素敵なステッキですね」
ブリ男が、そう言うとあいうは、その杖で1匹のスライムを叩きつける。
「グギ……」
そのスライムは、悲鳴をあげて消滅した。
するとあいうの体が光り輝く。
「これは、レベルアップでしょうか……?
スライムを1匹倒しただけでレベル0からレベル6まであがりましたね」
ブリ男が驚く。
「レベルアップ?
なんかゲームみたいだね!」
あいうが、そう言いながら飛びかかってきたスライムをステッキをバッドのように扱い別のスライムにぶつける。
するとスライムが2匹消滅した。
ふたたび、あいうの体が光り輝く。
「あ、またレベルアップ?
なんだろう、心のなかから熱くこみあげてくるもの……
これはなに?」
あいうの言葉にブリ男が反応する。
「それが、魔法です!
さぁ解き放ちなさい貴方の貴方だけの魔法を!」
あいうは、杖を片手に持ちそして1匹のスライムに照準を合わせる。
「ミラクルビーム!」
ステッキの先が光る。
そして、ステッキからビームが出てスライムに命中。
あいうは、そのまま身体を回転させる。
ビームは、あいうの周りにいたスライム全てを消滅させた。
あいうの体が光り輝く。
「また、レベルアップですか?」
あいうの質問にブリ男は、戸惑いながらあいうのおでこに人差し指を当てる。
「サーチ……っと」
ブリ男は、あいうの方を見る。
するとブリ男の目にあおうのレベルと戦闘力、特性が目に映る。
「ブリ男さん?」
あいうが、首を傾げるとブリ男は驚く。
「あいうさんは、凄いですね。
スライム12匹倒しただけでレベルが30になりました。
貴方の特性は経験値300倍。
適正職業は、魔法使い。
とっても強くなれる魔法少女ですね」
ブリ男は、ニッコリと微笑んだ。