19
あいうが、目覚めたとき見知らぬ天井が目に映る。
「あれ?ここは……病院?
さっきのは、夢だったのかな……?」
あいうが、そうつぶやきベッドから降りる。
すると、男が宙に浮いた椅子に座りながらこういった。
「おはようございます。
あいうさん」
「あ……さっきの男の人?」
すると男が自己紹介をした。
「はい、鰤谷ブリ男と申します。
ご機嫌、麗しいですか?」
「あの……
ここは、どこですか?」
あいうが、不安げに尋ねる。
「ここは病院です。
そして、貴方たちの世界で言うところのSFの世界ですね」
ブリ男が、淡々と応える。
「SFの世界?」
あいうが、首を傾げる。
「貴方の世界とは違うので、言ってしまえば異世界です。
異世界で転生するのは、なにも無職や男だけとは限らないのですよ」
ブリ男が、そう言ってニッコリと笑う。
「なに言っているのかわかんないや……」
「おや?無職転生を知りませんか?」
「知りません」
ブリ男の質問にあいうは、即答する。
「そうですか……
残念です」
ブリ男は、ため息を付いた。
「あの……
私は、どうなったのですか?」
「あの地球での貴方は、死にました」
「死んだ?そう言えば、さっき転生って言ってたよね?
私は転生したのですか?」
あいうは、そう尋ねるとブリ男はニッコリと笑う。
「はい、死にました。
真っ黒焦げになって灰になっちゃいました」
「灰……?」
「まぁ、最初の一発のミサイルで死ねて貴方はしあわせですよ。
あのあとの大阪だけでなく日本全土が大惨事でしたから……」
「……そうなんだ」
「そして、ここからが僕と貴方の契約の時間です」
「契約?」
あいうが、首を傾げるとブリ男が笑う。
「そうです。
僕と契約して魔法少女になってください」
「魔法少女?
ってか、契約って何?」
戸惑うあいうを見たブリ男は、ニッコリとした表情を保ちながら言った。
「僕は、鰤谷ブリ男。
魔界の王子です。
僕の仕事は、覚醒者に力を授け。
この世界の悪しきモノを倒してもらうのが目的です」
ブリ男は人差し指を上にあげて、そしてそのままあいうの方に指を向ける。
「へ……?」
「さぁ、契約の時間です」
ブリ男の指が光る。
するとあいうの体も光り輝いた。