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するとあいうの体に光の衣が包み込みその姿はまさしく動きやすさを重視したドレスを身にまとっていた。
「はい、これで貴方は鰤谷王国所属の魔法少女ブリキュアになれました。
貴方にはブリキュアとして、幾つかの成約が課せられます」
「へ?ブリキュア?プリキュアじゃなくて……ですか?」
あいうの質問にブリ男が、人差し指を立てて答える。
「プリキュアは、PRETTY CURE。
つまり、可愛く癒やすって感じの意味ですね」
「はぁ……
じゃ、ブリキュアは?
もしかして、鰤で癒やす……とか言いませんよね?」
ブリ男がニッコリと笑って嬉しそうに答える。
「ブリキュアの意味ですか?
いいでしょう、教えて差し上げます。
ブリーズ(breeze)・キュア(cure)。
癒しのそよ風って意味です。
鰤で癒せるのは、せいぜい魚好きの一部の人間のみですよ」
「そう言われるとかっこいいですね」
あいうは、ニッコリと微笑む。
「わかっていますねぇー」
ブリ男も微笑み返す。
「で、成約ですが……」
「あ、大体わかります。
正体がバレてはいけないとかですよね?」
あいうは、直感でそう答えた。
「いえ、この世界では、魔法少女はトランスと言って変身することにより力を何倍にもあげることができる能力で、別に珍しいものではありません。
なので、正体はバレても平気です」
「そ、そうなのですか……
てっきり正体がバレたらフライドチキンにでもされるのかと思っていました」
「その辺は、契約と盟約よって変わりますが……
魔族は、基本人間を食べません。
人間の心を食べることはありますが、肉体は食べませんね。
そもそもフライドチキンにする意味ってないですよね?」
ブリ男が、そう言って笑うとあいうは少し安心した。
「そうですよね……
安心しました」
「では、まずは掟ひとつめ!
魔法でむやみに人を傷つけないこと。
ふたつ目の掟は恋愛禁止!
これを破ると魔力のほとんどを失います。
このふたつを護れれば……
魔法少女ブリキュアとして悪しき魔王を倒す力を得れます!」
ブリ男は、そう言ってビシっと人差し指をあいうに向けた。