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07

 ――スタンレイ艦

「見た目よりずっと広いんだね」

 それが13の素直な感想だった。
 なぜなら13は、要塞戦艦というものに乗ったことがなかったからだ。
 噂程度にしか知らない。

「要塞戦艦の見た目は東京ドームくらいの大きさだけど。
 空間魔法により中身は、国レベルの広さだからね。
 中で生活をしている人がほどんどさ」

 サイアスがそういって説明をした。

「そっか」

 13は、それを受け入れるしかない。

 玉藻はまわりをみて驚くばかりで絶句といった感じだった。
 まず、戦艦の中なのに空がある。
 空気も驚くほど綺麗だった。

「お、サイアスじゃないか?ひぃふぅ」

 そういったのは小太りで制服を着たメガネの男子生徒。

「オーか。また太ったかい?」

 このこぶとりの男子生徒の名前は、オー。
 こう見えて凄腕のドールも乗れるメカニック。

「ひぃふぅ。
 そんなに褒めたらチョココレートが出るよー?」

 オーは、そういってウエストポーチから沢山のチョコレートが出てきた。
 その量は、ウエストポーチの容量を遥かに上回っている。

「そんなに入るの?」

 13がそういうとオーは得意げに言った。
 するとひょっこりと後ろからイケメンの男子高生が出てくる。

「これは無限ポーチ。
 四次元ポケットを作ろうと思って出来た失敗作なんだが、これはこれで使えるんで商品化したんだ」

「タク、それ僕のセリフなんだなぁー」

 このイケメンの名前は、タク。
 勉強もできる。
 頭もいい。面倒見もいい。
 そして、性格もよく顔立ちもいい。
 何でも出来るパイロットもこなすメカニック。

「言いたいときに言いたいことを言わないと結局なにも言えないまま終わる。
 お前もタクを見習ってさっさと機敏に動かないとな」

 そういって長身に細身の男子生徒も現れる。

「ブーってなにげになんでも毒舌だよね」

 この細身の男子生徒の名前は、ブー。
 毒舌だがやさしい。
 そんなややこしい性格の少年だ。
 主にテストパイロットをやっている。

「なんかいっぱい出てきたね」

 13がそういうとサイアスが答える。

「ああ。
 ここは軍事施設だからね」

 サイアスはそういってオーの方を見る。

「会議室だよね?
 204号室が空いているよ」

 オーは、そういって鍵をサイアスに渡す。

「ありがとう。
 では、13くん、玉藻くん。
 こちらへ」

 サイアスは、そういって部屋の扉に鍵を刺した。
 すると扉に文字が現れる。

[204号室]

「ハイテクだね」

 ここまで来ると13は引くしかない。
 なにも出来ずにただ引いた。
 驚くこと以外なにも出来ない。
 自分の知らない世界は、ただ広かった。

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