第10話
「 ––––はっ⁉︎」
今度は背後に殺気を感じ、彼は横とびする。
––––シュン!
大上段から一気に斬りおろす
間一髪、
「うわっ!」
足を滑らせ、床へもんどりうつ。
「……たたたたっ」
呼吸がつまりそうになるぐらい背中を激しく叩きつけた。
「……!」
散々に火花を散らした両眼に写ったのは、成行同様床に身を横たえる少女の顔。
その表情は驚きに
成行は少女の流した血に足をとられたのである。
少女の手には
「……森さん、あんたがやったのか⁉︎」
短刀の切っ先を向け、問う。
「そうだが」
「この子たちを手にかけたのか⁉」
「そうだと言っている!」
叫ぶやいなや林太郎は大上段に構え、成行の頭頂めがけ振り下ろす。
––––バキーンッ!
金属と金属がぶつかり合い、高音とともに青白い光の破片が四方に弾け飛ぶ。
林太郎が放った一刀を、成行は短刀を寝かせて受け止めた。
まともに打ち合えば長刀にかなうはずもないが、そこは刃の角度と握る腕、支える足の力を巧みに使い、衝撃を受け流す。
成行は
彼の次兄、
「……ほう、
一撃を防がれた林太郎は間を取りなおすと、成行のにぎる
五虎退––––
そのような由来も、なぜ
「虎五匹は追い払えたが、わたしたちふたりの人間はどうかな?」
再び刀をかまえた林太郎と、サーベルを高く