第8話
––––ピギャャャャャャャ!
甲高い絶叫、サラサラと音を立てて
突然いましめから解放され、力あまって四つんばいの成行の身体は一度びくんと跳ねた。
「大丈夫ですか?」
彼をかばうように立つふさ。
その手には「何か」が握られていた。
白く長い紙に
「
「……え?」
「……子供たちみんな
その声は怒りに震えていた。
––––アハハハハハ!
––––ハンギャァァァァァ!
鼓膜を震わす奇声を発し、幼児はその形を崩した。石と化し、砂と変わり、床にぶちまけ消え入る。
「お、おぉ!」
驚きの表情をその
「ここはわたしにまかせて下さい!」
ふさは迫る赤子たちをその札で撃退しつつ声を飛ばす。
––––ひとり、ふたり、四人、八人、二十人……闇の中から無数の幼児が姿を現してくる。
よちよち歩くもの、はいはいと進むもの、その誰もが満面の笑みを浮かべていた。
「……ちっ!」
ふさは舌打ちした。手もとにあるお札で一体どれだけ倒せるであろうか?
「––––でも、やるしかない!」
一歩踏み出そうとしたふさの右腕を、強い力で制する者がいた。
「……⁉︎」
「古来、『ここはわたしに任せろ』と言って、いのちをながらえた者はいないんでね」
成行は強い力でふさをおのれの胸もとに引き寄せる。
「……あっ!」
驚きの表情を浮かべるふさに、平常を取り戻した成行は力強く持論を語る。
「ここは逃げるに限る!」
ふさの両足を持ち上げ、抱きかかえた成行。階段を降りようとした時、
––––ギャァァァァァァァ!
それも複数。
「今日はよく悲鳴があがる日だ」
巨大なイモムシのような上下の唇を
「はやく起きて逃げろ!」
もはやあたりまえのことしか言えないぐらい事態は切迫していた。
––––オギャー!オギャー!
––––ダァー!ダァー!