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沈黙なる空間。
沈黙なる世界。
そして、泣き叫びながら近寄ってくるベル。
「ジル!ジル!ジル!」
ジルは返事をしない。
「ごめん」
ボクはぼそりと謝った。
「アンタは悪くない。
アンタが殺したんじゃない。
アンタは、その刀を受け取ってくれないか?」
「これは俺が持つのに相応しくない刀だよ。
資格がない」
「ジルに頼まれたんだよ。
自分にもしものことがあればその刀をボクにやってくれって」
「え?」
「その刀は切れ味は抜群。
刃こぼれもしない。
ただ魔力容量の消費が激しいんだ。
私じゃとてもじゃないけど使えない」
ベルがそういって涙を拭った。
ボクはベルの強さを感じた。
「わかった」
「あたしは、ジルの亡骸をゲートに運ぶ。
アンゲロスにて弔ってもらう」
「ゲートの場所わかるの?」
「ああ。ここに来たときジョーカーと一緒でね。
ジルの魔力が切れたから見に行けって言われて……
もしもの時のためにこのモドリ玉を貰ったんだ」
「そっか」
ボクはこんなときどんな言葉をかけていいかわからない。
コミュニケーション力が足りない。
それだけじゃない。
いろいろ足りない。
そんな気がした。
「……私は戻る。
そして、そのま防衛にまわるよ」
「うん」
「気張りなよ」
「え?」
「ジルが言っていたんだ。
ボクは希望の塊だって」
「そんなことを……?」
「じゃあね」
ベルは、そういってモドリ玉を使いアンゲロスへと戻った。
ボクは、ベルが戻るのを見届けるとテオスの庭からテオスの城の中に入った。
薄暗い部屋。
恐怖。不安。孤独。
その全てが襲ってくる。
ボクは、その全てに耐えながら見知らぬ城をうろちょろした。
モンスターはそこにはいない。
違和感を感じる。
その違和感がする場所げと向かう。
部屋がある。
部屋には大きな目が合った。
大きな目は低い声で唸る。
「汝、名を名乗れ」
ボクは、その扉を無視をして扉を開けようとする。
「錠はかけてある。
もう一度問う。
汝を名を――」
ボクは、その扉の錠を外した。
それと同時に扉の目が消えた。
「やっぱりそうか」
ボクはなにかを確信した。
「気づかなかった。
前世で得意だった分野だったから……」
そうボクの特殊能力。
それは無限の魔力容量だけじゃない。
鍵を開ける能力だ。
「もっといい能力がよかったな」
ボクは小さく呟くと部屋の奥に向かう。
すると拘束具をつけられだ女がいた。
女は怯えた表情でボクを見る。
「なにをするの?」
怯える女にボクはいう。
「これ痛くない?」
ボクは、そういって拘束具を外した。
「あなた何者なの?
この拘束具そうとうな魔法数式を理解しないと解けないはず」
「解けたよ」
ボクはそういって小さく笑った。
「あなたなら……あなたなら……任せれるかもしれない」
「え?」
「いずみさまをお救いください!」
女は頭を下げる。
「いずみ……さん?」
「はい。
私たちのせいで強要を強いられています」
「強要?」
ボクは、そういいつつ奥の扉を開ける。
するとそこにた沢山の人間と魔物。
そして、エルフ、ドワーフ。
沢山のモノたちが牢に入れられていた。
「あなた鍵を持っているのかい?
だったら助けてください」
牢の中の人間がそういった。
「なにここ……」
「ここはテオスに逆らった者たちが閉じ込められている牢です」
先程の女がそういった。
「でも、君だけどうして外にいたの?」
「私の順番だったんです」
「え?」
「次、いずみさまがテオスに逆らったとき。
殺される順番です。
私たちがいるから、いずみさまはテオスに協力しています。
ですが、私たちが開放されたとき……
いずみさまは、自由になれます」
女がそういうと涙目でボクに訴える。
「どうか、どうか、私たちをお救いください」
女がそういうと聞き覚えのある声がボクの耳に届く。
「もしや主はボクではないか?」
ボクは驚いた。
こんなところで見知った声が聞えると思わなかったからだ。
「かみ……さま……?」
ボクは、目に涙が浮かぶ。
「そうだ。
余はかみさまだ」
ボクは駆け足でかみさまの元に近づき錠に手を触れる。。
「ちょちょくろさー」
ボクはそういって錠を解除した。
「すまない、ありがとう」
かみさまがお礼を言った。
「凄い。
あの子の錠は、何億もの魔法数式でぐちゃぐちゃに――」
若い男がそういうとボクは笑う。
「数学は苦手なんですよ。
難しいことはわからないけど鍵開けなら任せてください」
ボクはそういうとかみさまがいう。
「主ならもしかして――いや流石に無理だろう」
「なにかな?」
ボクが神さまに尋ねる。
「あの奥の部屋の錠を解除して欲しいのだがあそこの錠は600億以上の魔法数式が――」
「あけたよ」
ボクが一秒も満たない時間でその扉を開けた。
「まさか……だよな」
かみさまは驚いた。
「ん……久しぶりに声を聞くね」
男の声が響く。
ボクはその言葉に聞き覚えがあった。
久しぶりに聞く声にボクは驚きの連続だった。
「白銀先生?」
ボクの目から涙が溢れる。
「久しぶりだね」
ボクは、白銀に駆け寄り錠を解除した。
「相変わらず君には驚かさせられるよ」
「どうして?先生はテオスの味方なんじゃ……?」
ボクの問いに白銀が答える。
「あれはボクであってボクでない」
「どういうことですか?」
「まず僕のおいたちから話そうか……」
そうして白銀が自らの話を始めた。