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「いいか?
ゲートは開いているが安定はしていない。
みんな同じ場所に入れるとも限らない。
向こうについたら、まず仲間を探せ。
できるだけ集団行動だ。
ひとりで幹部に出逢っても決して戦おうとせず逃げろ」
「わかりました」
ボクがそう返事をすると一同も頷いた。
「じゃ、お先に失礼」
ジルがそういって一番にゲートを潜る。
「ちょいお待ちよ!」
ベラが続きジャキも入る。
そして、次々と救援部隊のメンバーが入る。
ボクとジョーカーが残される。
「さ。ボクも入れ」
「はい」
ボクが入るのを確認すると亜金が部屋に入ってくる。
「みんな行ったの?」
「ああ。
お前はどうしてここに?」
「そんなの決まっているじゃない」
プレゲトンが言葉を放つ。
「ゲートの護りです。
ここから敵が入ってきたときのために」
「ああ。そうか」
ジョーカーが小さく笑う。
「頑張ってきなさいよ」
一花も部屋に入ってきてそういった。
「ああ。一花も来たのか」
「うん」
「生きて帰ってきたら……
ガキの名前一緒に考えような」
ジョーカーが照れ笑いを浮かべながらそういった。
「うん。死んだら承知しない」
「ああ。
俺はなにがあっても生き残るさ……
では、行ってくる」
「いってらっしゃい」
一花は、ジョーカーに手を振った。
ジョーカーも手を振りゲートをくぐった。
「子どもいるんですか?」
亜金が一花に尋ねる。
「うん。3ヶ月目」
「そっか。
その子には戦争のない世界を見せてあげたいですね」
「うん」
「ところでちらっとしか聞いてなかったのですが。
座標はテオスの城でいいんですか?
襲われているのはモスマン王国ですよね?」
「テオスの城は移動要塞なのよ」
「え?」
「だから、場所を突き止めるの苦労したらしいよ。
モスマン王国を襲っているテオスの城を内部から破壊するの。
少なくてもモスマン王国襲撃部隊がテオスの城にいないからテオスを倒すチャンスと言えばチャンスなのよ。
それは、モスマン王の提案なの……
ちょっとした賭けだけどね」
一花の言葉に作戦の難しさを亜金は感じた。
戦争が始まる。
長い長い戦争が……