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世界がほんの少し寂しくなった。
そんな日。
ジルたちはアンゲロスと合流した。
アンゲロスとダークグラム、スタンレイは手を組むことになった。
――アンゲロス市役所
「集まってくれたことに感謝をしよう。
じゃが、今は……仲間の死をただ悲しませてくれ」
アザゼルはそういって小さく震えた。
「なにを言っているんだ?」
ジルが首を傾げる。
「なにか問題でも?」
アザゼルが、ジルの方を見る。
「仲間が死んだんだろう?
だったら許可なんかいるかよ。
悲しめ。大いに悲しめ」
なんの因果かジルはジャキの知るジルではない。
デスペルという男の教育のもと。
リーダーとしての素質が何故かある。
そして、ヘタレな部分はあるので間違いなくあのジルなのだと確信はしている。
だが、性格が違う。
ベルがジルにベタ惚れなことは前世でも今世でも変わらない。
「ありがたき言葉」
ジルはそういってアザゼルが落ち着くのを暫く待った。
そして、大きな音と共に空気が変わる。
「ん?なんだこの魔力」
ジルがそういって窓から外を見る
すると見知った顔がジルの視界に入る。
「お?お前は!」
ジルが、声を出す。
ボクの表情が固まる。
そして固い挨拶が来た。
「こんにちは」
「お、おう!」
ジルが小さく返事をした。
ボクが、ゆっくりとアンゲロス市役所の中に入りジルが待つ部屋に入ってきた。
「おかえり。ボク……
ピノは逝ったのだな?」
「はい」
ボクが小さく返事をした。
「そうか」
アザゼルが小さくうなずく。
「俺は強くなります」
ボクの言葉にアザゼルは言葉を失う。
「なんだ?お前……
雰囲気変わったか?」
ジルの言葉にボクは小さく言葉を返す。
「そうかな?」
「ああ、なんつーか。
好きだぜ?お前みたいなやつ」
ジルがそう言った。
ただそれだけなのになぜか涙が出た。
「あ……あ……あ……」
「なんだ?なんで泣く?変なやつだな」
ジルの言葉にボクは涙を流した。
ただジャキはその涙の理由を知っていた。
いじめっ子といじめられっ子。
立場が違えば友だちになれたのかもしれない。
そう思った。